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2005年6月11日

十代は私の師

ユリイカ6月号の特集がムーンライダーズで、ようやく購入した。
彼らは過去のバンドではなく、過去から現在へずっと続いているバンドだ。
それにしてもわたしがもっとも多感な時を占領したのが
ムーンライダーズ、夢野久作、カート・ヴォネガットだ。

十代…特に高校を卒業して、社会人になる前の2年ないし4年というのは
おそらく人生で一番重要な時期だと思う。

わたしは、いろいろな事情で大学にいかなかった。
高校を卒業したら就職するもんだと思っていた親を
説き伏せるには、学費を自力で獲得できる「奨学生制度」を
導入していた学校を受験するしかなかった。
学費で親に迷惑はかけられない。

デザインの専門学校で学べるだけの学費をなんとか確保した私は
2年間の猶予が与えられた。
田舎の高校卒業者が就職できるのは、「事務か現場」しかなかったのだ。
もっと他の選択肢がないのかを、高校3年の夏になって
ようやく本気で探したんだった。

わたしが入学した学校は、まだできて3年しか経っていなかった。
学校法人は名古屋では大変歴史があり、母体がしっかりしていたので
奨学生を募ることができたと思うが、
学校そのものはとても若く実績がなかったせいもあり、
就職先の斡旋にしたって、周囲の東デや日デにいつも遅れを取っていた。

けれど、当時の環境は、「社会に出てから即戦力となること」を
主眼には置いていなかった。
(実際問題、デザインの現場はすごい勢いでツールが様変わりしており、
しかもデジタルとアナログの移行期に差し掛かる直前だったため
「主眼に置くことができなかった」というのが本当だと思うけれど
それは不幸中の幸いだった)

イラストレーションの担当だった三浦先生が
「B全パネルに絵を描くと、自分でもこのサイズの作品が
描けるんだと自信がわくでしょう?
その感触を、覚えておきなさい」
といった言葉の意味がわかるのは、卒業してから10年以上たってからだ。

卒業してしばらくは、
「学校で習ったことは社会では役に立たない」なんて毒づいていたけれど、
卒業後、「即戦力」の名の下に消耗しきってしまうような教育よりも、
10年、20年とたってテクノロジーがどんなに変化しても
思い出せ、励まされるような教育のほうが、ずっと実りがある。
そう思う。

ウォークマンでムーンライダーズを聞きながら通学した。
課題のテーマに好きな音楽を用いた。
帰りの電車はヴォネガットを読んだ。久作を読んだ。
直接、仕事には反映しないかもしれない。
けれど、今の私を支えているのは、
10代の終わりに抱きしめていた感性だ。

投稿者 YOUCHAN : 2005年6月11日 20:12

頂いたコメント

言われてみれば、私も、その時代は、Macとか68Kとか、パソコンで遊んだり、映画部に入ったり、小説や文学作品に触れたり、人生で大事なものを学んだ気がする。

高校時代との決別をしたのも、社会の適当さとかを知ったのも、そのころ。

投稿者 の : 2005年6月11日 22:43

私はもちょっと遅くて20歳が基点だった。
ナチスを生で体験したゼミの担当教授と出会った事。一人で飛び出た外つ国でアイデンティティの重要さを痛感した事。スタンスの基本はこの時に拾ったような気がする。
でも、その後も下手くそなので、まだまだその時に感じたことがちゃんと実践できていないような気がする。

YOUCHANは本当にすばらしい先生に出会えて幸せでしたね。何よりも大切な事は、応用の効く、真に普遍的な事を身につけることなんだろうなと思います。

投稿者 A : 2005年6月12日 01:27

コメントありがとうございます>のりちゃん、Aさん

個人的には、「いつでもどこでも誰からでも学ぶことはできる」と思っているので、
何歳のときにとか、必ずしも学校行ってないとダメとか
そういうとこにプライオリティはおいてはいません。
人生に学歴は不要だと思っております。

じゃあ学校は要らないのかといえば、そういうことではモチロンなくて、
選択肢の一つとして「学校で学ぶ機会」を得られるというのは、これまたすばらしいことです。
だからこそ、学校(大学も専門学校も)で学ぶ若い人たちの
将来への希望を断つような教育だけはしてほしくないと感じているのです。

今、将来へ希望が持てなくて、長生きしたくないと感じている人が急増していることの一因は、
そこにもあると思います。

投稿者 ゆ : 2005年6月12日 14:55

学ぶことは人の判断基準を豊富にし、よりよい選択の手助けになると思うからとっても大切。でも「人の価値を判断するためだけの学歴」はかなしいよね。逆に長く息づく、人生の糧を得られる就学はすばらしいと思う。

振り返ると名言に相当する言葉を吐く先生の記憶がないもんなぁ。
高校時代、「向上心のないやつは〜バカだ〜!」って連呼してた先生の記憶はあるけどね。
反対に「大学は東大・京大・一ツ橋ですわ〜」が口癖の先生もいたな(^^;

#あてしの将来の不安はこれとは別のとこにあるけど…

投稿者 ま : 2005年6月15日 18:37

不安のない人は、多分いないと思います。
不安が怖くて守りに入る人は、安定を得る代償に何かを失うもんだし。
お互い、がんばろうぜ。一身に味方なしとも言うしさー。

投稿者 ゆ : 2005年6月15日 21:05

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