クロフツのデビュー作にして最高傑作の呼び声の高い「樽」です。
入院中に手慰みに書いたのだそうです。
埠頭に荷揚げされた樽が破損してしまい、
その中からゾウリン硬貨と女性の死体が発見されました。
すぐさまロンドン警察に連絡が行き、バーンリー警部が駆けつけるも
その荷物は「荷受人」とされる男によって持ち去られた後でした…。
この長い物語は、一貫して
「死体はどこで樽に詰められて、どういうルートをたどって
フェリックスの家で中身を開けられることになったのか」を追っていますが、
樽の後を追いかける警部たちについていくのがやっとでした。
土地勘がないわたしには、パリとロンドンを行ったり来たりする
その足取りがちんぷんかんぷんで…。
ちんぷんかんぷんなのですが…この話は、とても面白いです。
500ページもある、相当長い小説ですが、3部構成になっているためか
それほど長いとは感じませんでした。
クロフツの作品はわたしはこれまで3冊読んだのですが、
いずれも、ラストがちょっと物足りない印象を受けます。
それまでの長い冒険の間に描かれた、警部や探偵たちの人間味が
もっとラストにも生かされていいのではないか…と正直思います。
物語の発端はどれもドラマチックなのですが…。
「樽」も、パリ警視総監のショヴェーがラストに登場するだけで、
あんなに身を粉にして働いたバーンリーやルファルジュが
出てこないのが寂しい限りです。
ラストの冒険は、なかなかスリリングで読み応えがあります。
二回読みましたが、面白かったです。非常に楽しめました。
名作と読み継がれるだけのことはあると思います。
わたしが読んだのは早川版ですが、創元推理版もあります。
創元版には英仏の地図が載ってたような記憶が…気のせいかな?
今度、書店で確かめてみよう。
カバーのオシャレ度は早川版がバツグンです。
樽
F.W.クロフツ:作/加賀山 卓朗:訳 
早川版。翻訳はよかったと思います。
先日読んだ「ポンスン事件」と遜色ないと感じました。
地図が載っていれば申し分ないのですが…。
樽
F.W.クロフツ:作/大久保 康雄:訳 
創元版。地図、載ってなかったかなぁ~??
カバーのデザインはもう少し何とかならないでしょうか…。
追記;
創元版には地図が載っていました。
樽の行方を追う上では、創元版に軍配が上がりそうです。
ガンバレ、早川!!