クロフツお得意の海峡物です。1931年の作品。
財政破綻した証券会社の重役達が、何者かによって殺されて、
英仏海峡にうかぶヨットで発見されます。
証券会社の金庫からは、大金が紛失しており、
それによって途方もない人々が大損失を被ることに。
是が非でも、犯人をつきとめ、失われた大金を回収しなくては
大勢の何の罪もない市井の人々が、路頭に迷うことに…。
これ以上書くと、なんだかネタバレになりそう。もうかけない…。
クロフツらしさが堪能できる秀作だと思いました。
タンナーという警部が出てきますが、多分このひとは
「ポンスン事件」のタナー警部でしょう。
こんなにフランクなくだけた人だったとは。
ラストのオチがちょっぴりユーモラスでした。
が、がんばれフレンチ!
ところで、文中にフランス単語とその注釈が
カッコ内に何度となく出てきます。
これは「樽」でもでてくる表現で、正直違和感があったのですが、
おそらくクロフツが、フランス語を洒落っ気で文中にたくさん
挿入したのではないかと思い当たりました。
日本人のわたしたちが、英語を文中に織り交ぜるように。
英仏海峡の謎
F.W.クロフツ 井上 勇 