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憎悪の化石

鮎川哲也の1959年の作品です。

「黒いトランク」では容疑者少なすぎない!?と
思ったりしましたが、今回は容疑者が1ダース!
しかも、最初の捜査は、熱海署の警部たちで、途中から
警視庁にバトンが渡されます。

とにかく、登場人物が多いです。
が、その煩雑さを感じさせない筆の力。これはすごいなぁ。
しかも、目されていた殺人の動機が二展三展し、
予想をどんどん裏切る展開が気持ちいい!
とても面白かったです。

前半は、熱海署の警部たちが懸命に捜査をしますが、
後半になって鬼貫&丹那コンビにバトンが渡されます。

読者は、彼らと一緒に捜査の旅に出ますが、
凡人探偵と一緒に旅をするこの感じは、
やはりクロフツを髣髴とさせると言われても
それは否定しなくてもよいのでは…と思います。
鮎川の場合、さらに日本人作家らしさがあいまって、
情緒溢れる作品になっています。

その情緒に色を添えているのが、文章の美しさだと思います。
ときどき垣間見せるペダントリーな描写も鼻につくことなく
ミステリ色に染まりかけた世界をふわりと知的に彩っています。

いやー、面白かったです。とてもとてもよかった!
タイトルもいいですね。


憎悪の化石
鮎川 哲也
4488403050

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2007年5月31日 22:37に投稿されたエントリーのページです。

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