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マギル卿最後の旅(Sir John Magill's Last Journey)

クロフツ1930年の作品です。

人絹とリンネルの混紡の発明を実現するため、
息子の経営する紡績工場のあるベルファストへ向かう途中、
消息を絶ったジョン・マギル卿。
安否を気遣い、警察に届け出た息子のマルカム邸の敷地内で、
ジョン卿の遺体が見つかります。
ジョン卿の遺産を目当てにした殺人ではないかと目されるも、
遺産相続の恩恵にあずかる当人達には、アリバイが……。

ということで、クロフツといえばアリバイ崩し。そして鉄道です。

今までは、英仏海峡の話ばかりを読んできましたが
今回は、ロンドン在住のジョン卿が、息子の元へ訪ねる途中
イングランド~スコットランド間で消息を断ち、
そして遺体が見つかったのが北アイルランドのベルファスト、
ということで、いつもとは逆の方角で起きた事件ということに。

この事件のフレンチ警部の苦労ときたら、
なんともいえない、たいへんなものがありました。
みえない糸口を手繰り寄せるその努力。
やってもやっても終わりの見えない仕事に携わっているときの
気分にとても似ています。
それに、この事件はスコットランド・ヤードの管轄ではないと
思っていたのに、アルスター警察サイドは
「ロンドンの住民が殺されたんだから、これはそっちの管轄」
と譲らず、乗り気ではない仕事…しかもものすごく大変な案件に
取り掛からざるを得ない憂鬱さ。

ああー、つらいね~。すごくよくわかるよフレンチさん…。
読んでいても、そのつらさ、実感しました。
そもそも物語として長いし。「樽」並に長いし。

そのつらさを乗り越えたからでしょうか。ラストの2章は感動的です。
もう一度読もうかな~、と思いました。

ところで、本筋とは関係ありませんし、個人的な好みですが
わたしは「スコットランド・ヤード」を「ロンドン警視庁」というのは
あまり好きではありません。
この本を訳した橋本さんは、なるべく平易な日本語に置き換えるように
尽力されたと思いますが、できれば「警視庁」は「ヤード」と表記して、
雰囲気を大事にしてほしかったなぁと、ちょっぴり思いました。
これまでの翻訳では、ハヤカワ版の新訳「樽」と「クロイドン」の加賀山卓朗さん、
そして「ポンスン」「英仏海峡」の井上勇さんの言葉使いが好みです。
特に加賀山さんは素晴らしく洗練されてると思います。
…と、全くの余談でした。


マギル卿最後の旅
F.W. クロフツ:著 橋本 福夫:訳
4488106080

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2007年5月 3日 18:29に投稿されたエントリーのページです。

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