ヴォネガット2005年の遺作です。満を持して邦訳版が出ました。
早速、書店にて買い求め(Amazonの到着が待てますか?)
新宿からの帰りの電車でずっと読み、帰宅してからも読んで
さきほど読了しました。
基本的には、あちこちでヴォネガットが発言している
言葉が何箇所も収録してあり、ときには
過去に出したエッセイと同じことまで書いてありました。
言いたいことは言い尽くした感がありますが、
これまでのエッセイと色が違うとしたら、
アメリカが世界中から嫌われてしまったことを
とてもこの老作家が悲しんでいることでしょうか。
タイトルの「国のない男」とは、途方もない反語といえるでしょう。
こてんぱんなまでに叩きのめされるアメリカ。
ヴォネガットの痛烈な政治批判は、
もうどうしようもなく祖国を愛しているのだなと
感じずにはいられません。
そして激しく論破したあと、肩で息をしながらも見せた
アメリカ人や人類への深い愛を12章で感じ取りました。
キルゴア・トラウトもちょっぴり出演してます。
これはウレシイ。
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この本は、いつもの「早川書房:刊、浅倉久志:訳、和田誠:カバー」
ではなく、NHK出版から出ており、翻訳は金原パパです。
正直なところ、浅倉節で読むヴォネガットになじみすぎているせいもあり
手に取るまですごーく不安でした。
(帯にはまた太田光だし。もうね、ちょっとね…)
読んでみると、ちょっと硬質なヴォネガットという感じでした。
ところどころに気になる表現はありましたけど、
一気に最後まで楽しく読めました。よかったです。
…が、やはりいつかは浅倉訳で読みたいなぁとも思いました。
タイトルも、もしかしたら少し違ったつけ方になったんじゃないかなぁ。
過去に、池澤夏樹訳の「母なる夜」を読んでから、
飛田茂雄訳の「母なる夜」も読んでみましたが、
そのとき、前者では上品過ぎる!と思ったものです。
今回感じた「硬さ」は、池澤訳に近いかもしれないです。
そもそも、従来のヴォネガット文体が継承されていないのが
違和感なのかもしれない。
それから、他の作品にも出てくる登場人物の表記は揃えてほしいし、
ヴォネガットがいいそうもない言葉遣いは
やっぱり避けてほしかった…。
なんだか最後にケチがついた印象が否めません。至極残念。
国のない男
カート・ヴォネガット 金原 瑞人