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黒い白鳥

黒い白鳥 (創元推理文庫)
鮎川 哲也
4488403042

1959年の作品。
「宝石」に1回100ページ単位で掲載されていたらしい。
冒頭に、乱歩による絶賛文が掲載されているが、いやホント、名作です。
練りに練られた、という印象で、とにかく隙がない。
複線だらけ。ささいな失敗すら、複線。
途中で「んんっ!?」と思うたび、なんどか読み返して
うう、そういうことか!と唸る。推理小説の醍醐味がある。

労組と会社との対立の最中に、社長が殺される。
社長に恨みを持つもの、社長の死によって得をするもの、の
2方向から、被疑者を絞り込んでいく。
その過程に出てくる新興宗教の存在が、もっとくさいのかな
とおもっていたら、そこはあんまりたいしたことなかった。
読者が(というかわたしが)よそに目を向けていると、
突如あまり注目していなかった人物にスポットライトがあたって
状況がぐるぐると変化してゆく。思いがけない展開に驚いた。
特に事故のシーンからの展開はすさまじいと思った。

鬼貫が聞き込みの最中に、いぶかしげな顔をする相手に対し、
「いや、これは関係者11人全員に聞いて回っているんです」云々
と述べる件があった。
これって、同時に執筆されていた「憎悪の化石」だよね。
思わずクスリ。こういう「クスッ」が、きっと随所にあるに違いない。
鮎川歴が浅いわたしには、ここのところと、
「黒いトランク」の件しか見つけられなかった。楽しいなぁ。

鮎川の作品では旅の描写が多い。モチロンこれは旅情を誘う。
電車で読むのがぴったり。
それは多くの人も認めるところだろうけど、のみならず
食べ物の描写でも振るってると思う。
鬼貫同様、わたしもお酒はいけない口だが、ビールが美味しそう。
今年みたいに暑い夏、ビール好きの人が読んだら、
絶対読後に飲むと思った。

女性の描写は、これまで読んだ中では一番好感を持った。
というか、文江がいい。
美人はこうであってほしい。かっこよかった。うんうん。

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2007年8月24日 21:19に投稿されたエントリーのページです。

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