デス博士の島その他の物語 (未来の文学)
ジーン ウルフ :著 /浅倉久志・伊藤典夫・柳下毅一郎:訳 
読み終えるのに、えらく時間がかかった一冊。
普段の3倍近くかかった気がする。
なんといっても、飛ばし読みができない内容だし。
ささいなエピソードも、もしかしてなにかの複線ではないかと勘ぐってしまう。
実際そうだった。
一回読んだだけでは、おそらくわからない...らしい。
けど、その一回すら乗り越えるのは容易ではない。
ごりごりと、とにかくページを繰り続けるうち、
だんだんウルフの描く世界に浸ることが気持ちよくなった。
構成も秀逸だったと思う。
不可思議な余韻を残す「アメリカの七夜」のあと、
慈愛に満ちた「眼閃の奇蹟」で締めたのはよかった。
島3部作(そしてオマケつき!)も堪能した。
うん、「堪能した」というにふさわしい一冊かも知れない。
それにしても、大変な本だったなぁ。
(以下、ネタバレあります)
viewbooさんとの「アメリカの七夜」についてのやり取り
viewboo
youchan
viewboo
youchan
奥が深いぞ、ジーン・ウルフ!
viewboo
コレは読んだ?
<「アメリカの七夜」の"真相">
youchan
読みました! かなりヒントになりました~。 個人的には、ヤースミーンのことをあんなに気にしていたのに、ある日を境にふっつりと気にしなくなったあたりも、なんだか変な気がしています。<「アメリカの七夜」の"真相">のラストにあった 日記そのものが弁護士の捏造説に、なんとなく1票(笑)
viewboo
最初に読んだ時、例えば夜中にホテルを抜け出してエレンの実家(と思しき場所)へ赴く道中で、突然転ぶかどうかしたらしい件の前後(p.260)が、何行 か落丁してるみたいで引っかかったのだけど、さらに読む進むうちに失われた大長編の断片を読んでいるかの様な、不思議な気分を味わいました
ここまで、再読の度に新たな発見のある作品も珍しい(原文でも読まなきゃな)
> 個人的には、ヤースミーンのことをあんなに気にしていたのに
> ある日を境にふっつりと気にしなくなったあたりも
> なんだか変な気がしています。
> 日記そのものが弁護士の捏造説に、なんとなく1票(笑)
その流れで、自分を捨てて去った男(とその家族)へのヤースミーンの復讐ともとれるよね。ラストでの、取り乱している母親とは対象的に、妙に落ち着きはらった言動の描写から
youchan
> 最初に読んだ時、例えば夜中にホテルを抜け出して
>エレンの実家(と思しき場所)へ赴く道中で、
>突然転ぶかどうかしたらしい件の前後(p.260)が、
>何行 か落丁してるみたいで引っかかったのだけど、
>さらに読む進むうちに失われた大長編の断片を
>読んでいるかの様な、不思議な気分を味わいました
そうですね。260ページ3行目の「その瞬間」あたりから、唐突感がすごい。何行か落丁しているような、というのは言いえてると思います。
ジーン・ウルフコミュでも言及がありましたけど 「女妖」の描写、つかみどころがない。殺したはずの女の遺体が、後で見に行くとなくなってる(265ページ)、 日記には空想の出来事が書いてあるとか(P265)、実在はするが霊的な存在に発砲したかのような言い訳?(P267)が何度も出てきて あの怪物殺害が幻想だったかのような印象を植え付けておきながら、 ラストであれは実は本当にあったことだ、とか。「ええええ?」という感じでした。
> その流れで、自分を捨てて去った男
>(とその家族)へのヤースミーンの復讐ともとれるよね。
>ラストでの、取り乱している母親とは対象的に、
>妙に落ち着きはらった言動の描写から
ああ、それもありですねー。 うーん、なんともすごすぎる一冊です。
奥が深いぞ、ジーン・ウルフ!