ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)
カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉 久志 
ヴォネガット読み返しキャンペーン・ローズウォーターさんの巻。
ヴォネガット後期で繰り出される「乾いた笑い」と、前期で用いられる、ラストにオチを持ってきて問題の昇華を図る手法が交差した秀作だと思った。ヴォネガットは「スローターハウス5」と「チャンピオンたちの朝食」で転換期を迎えたんだなぁと改めて思う。
エリオットの狂気はなかなかすごいものがある。こんな夫に振り回されたら、そりゃ嫁はうつ病が発症するわ、と思った。が、やはり特筆すべきは、父親との対決シーンだろう。このくだりは、ものすごい迫力がある。オチについては、ニヤリと笑う感じ。ヴォネガットらしいといえばらしいけど、らしくないといえばらしくないかな。思想としてはヴォネガットらしいのだけど、手法がらしくない、という感じ。キレイすぎるかな。ヴォネガットの短編っぽいオチ。
クレイジーなヴォネガットに慣れるにはもってこいの入門書だとおもった。