ジェイルバード (ハヤカワ文庫 SF (630))
カート・ヴォネガット
Amazonの画像がないな。先ごろ、復刊した「ジェイルバード」。読み返しキャンペーン中。
後期ヴォネガットの代表作のひとつといっていい。ヴォネガットらしさに満ちて、構成もうまい。前に紹介した「ローズウォーターさん」同様に、ここでのテーマは「金」。ヴォネガットは、金や富をファンタジーとして扱う。金持ちは、金を用いて富を分配することで世の中をよくしたり、人々を救うことができると真剣に考えている。違うのは、エリオット・ローズウォーターは幸せだったが、「ジェイルバード」のメアリー・キャスリーンはそうとは言い切れなかった、といった差だけ。彼らは資本主義社会のファンタジーであり、魔法使いなんだな。
「ジェイルバード」では、本人の意向や思惑を大きくそれて、誤解の上に待ち受ける、思いがけない展開に流されてしまう人々の物語とも取れる。人生は、勘違いと思い込みで彩られているのかもしれない。読後感の後味は、わたしは「ローズウォーターさん」よりも「ジェイルバード」のほうが好きだ。限りなく、ヴォネガットらしい。