人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)
シオドア・スタージョン 矢野 徹 
Amazonの画像がないな。スタージョン1953年の長編作で、矢野徹による訳が1963年と、半世紀も前のもの。3部構成で、特に第2部の「赤ん坊は三つ」がすばらしかった。と思ったら、「Baby in three」という短編で最初発表されたものだったらしい。登場人物も多岐にわたり、3部構成を通じて共通の登場人物が出てくるものの、オムニバスの中にオムニバスが入っているような複雑な構成だったが、結構すんなり読めた。構成が巧いな、と思った。
読んでるときには、次の展開が気になって、面白かった。面白かったんだけど、私自身、超能力モノ・超人モノが不得手と言うこともあり、読後感は「うーん」だった。宗教観の差もあるのかな? いや、スタージョンの短編を読む限りはそのあたりは特に感じなかったので、やはり超人モノが苦手なんだなと思った。以前読んだ矢野徹の「折紙宇宙船の伝説」の読後感に非常に似ていた。「人間以上」の影響が大きいのではないだろうか。「人間以上」による影響と言えば、石ノ森章太郎の「サイボーグ009」の発想の源になったと言う説もあるが、たしかにそれは感じた。特に、イワンに相当する赤ん坊の存在とか、超人ならではの悲しみと矛盾に対する苦しみなど、テーマや描写に相通じるものを感じた。古典的な名作なのだと思う。
ところで、わたしが読んだのは、ポケミスと同じ装丁の大変古いもので、以前、富士鷹屋で購入したものだ。この古本、巻末には訳者の検印がある。そう、「矢野」というハンコなのだ。これをたまたま筒井好きの某編集者に見せたとき、「矢野さんのハンコじゃない!!」とすごい食いつきだった。いーでしょいーでしょ。はっはっは。