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2008年2月 アーカイブ

2008年2月 7日

夏への扉(The door into summer)

夏への扉
ロバート・A・ハインライン 福島 正実
4150103453

心には冬景色 輝く夏を捕まえよう
だから リッキー・ティッキー・タビー その日まで おやすみ

...というのは、吉田美奈子作詞による、山下達郎の曲「夏への扉」。わたしは今になってようやく、この名著を読了した。四半世紀が過ぎ、あの歌の意味がこういうことだったのか!と理解した。すばらしい意訳だと思った。

本題。この物語が書かれたのが1957年、舞台になっているのは1970年。57年当時、70年というのは相当の未来に映ったのだろうが、さらに時間を遡ること2000年。もう果てしない未来だと思われていたに違いない! ああ、そうなのに、もうすでに時は2008年。ハイヤード・ガールも、フレキシブル・フランクもいない。それにしても、この瑞々しさときたら! 若々しさにあふれていた訳もとてもよかった。青春と恋と仕事と、そして猫。そう、猫なのだ、ピート!!

この物語は、ホントウに純然たるSFだ。SFというと、オタクでマニアックでちょっと近寄りがたい存在かもしれない。私が好んで読むSFも本道からはちょっと道をそれたものばかりなので、あまり偉そうなことはいえないが、「夏への扉」は、純然たるSFにして、とても優しく、楽しく、切ない。まさしく「文学」だと思う。

それにしても、たとえばCADの開発を予感させるような描写など、ハインライン、なかなかやります。ただ、タイムパラドックスに関する記述には、ちょっと「んー?」と思うところも、正直あった。けれど、この物語ではこういうことなのだから、いいのだ。

余談:本では「リッキイ・ティッキイ・テイヴィー」となっていて、「タビー」じゃなかった。ほんっとかわいかった。リッキイ。で、以下に挙げるCDに「夏への扉」が収められている。名作。

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)
山下達郎
B00005UD3W

2008年2月24日

ヴォネガット、大いに語る(Wampeters, Foma and Granfalloons)

ヴォネガット、大いに語る (ハヤカワ文庫版)
飛田 茂雄訳 カート・ヴォネガット著
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ヴォネガット、大いに語る (1984年) (サンリオ文庫)
飛田 茂雄 訳
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以前、友人に借りて読んだものの、もう一度読みたくなって、たまたま古本屋さんで発見し購入。運が良かった!(わたしが入手したのはサンリオ文庫版)

この本では、「スラップスティック」の構想が語られており、そして拡大家族の必要性がこれまたしつこいくらい説きに説かれている。彼の言っていることは、他の長編やエッセイやインタビューとなんら代わらない。彼は、言ってる事が全部同じ。何冊読んでも同じ。

しかし、ヴォネガットのエッセイのなかでも、この本と「死よりも悪い運命」は群を抜いて重い。内戦が続く現地への取材旅行がどちらにも含まれていて(「死よりも」はモザンビークの取材)、そのせいもあるのかもしれない。ビアフラのナイジェリアからの独立運動の失敗による、国民の危機的状況は、冗談でも言わなきゃやっていられない。といいながらも、もうすっかり笑う力すら残っていない。そんなヴォネガットが、そこにいる。生々しいのだ。人間くさいし、あがき、悩んでいる。

わたしはこの本を含む、残り3冊のエッセイの再販を、心から望む。かつて、エリオット・ローズウォーターは、人生について知るべきことは『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と言い、そしてこうつけ加えた、「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ!」。わたしたちは、「国のない男」だけじゃもう足りないんだ!

どうせつくなら、気分のいい嘘をつこうじゃないか。未来は暗く、生きることはつらい。それでも人生は続く。なあ、赤ちゃん。こんな地球にようこそ。でも、きっと人の親切が、君の心を明るく楽しいものにしてくれる。

アメリカ人のこの作家は、そんなたわごとを一所懸命書き続けてきたおじさんなんだ。こんな人がいたなんて、それはきっと素敵なことに違いない。わたしはそう信じている。

余談:
原題の「Wampeters, Foma and Granfalloons」は、「猫のゆりかご」にでてくるボコノン教用語。「ワンピーター」は「カラース」の中心となるもので、「カラース」は特別な理由もなく人生に関係してくる人々の集まりのこと。「フォーマ」は無害な非真実。ボコノン教の経典とか。そして「グランファルーン」は、 間違ったカラースで、本当はありもしないのに何らかの関係があると考えている人々のグループ。たとえば、会社組織とか。なんと辛らつな。

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