九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)
R・A・ラファティ 浅倉 久志

その昔、入手していたものの、度重なる引越しやらなんやらでどこかになくしてしまったラファティ。偶然、古本屋さんで上製版を発見したので(しかもリーズナブルだった!)今度は無くしませんと誓いを立てて再購入した。
当時購入した文庫の表紙は、コミカルなおばあさんのイラストがちりばめられている、とてもPOPなものだったと記憶している。Amazonの画像がないなぁ。まぁいいや。80年代、ヴォネガットにかぶれ、その訳者の手によるものだし、書店ではのきなみ平積みだし、「爆笑」って帯に書いてあるし、だったら絶対面白いに違いないと思って購入した。ところが、ちっとも頭に入らなかった。当時、グレッグ・ベアで一度SFを挫折した経験があり、2度目の挫折だったため、SFは向かないんだと決め付けてしまったのを思い出す。
ところが、20年近くたって読み返して、ようやく理解できた。グレッグ・ベアはともかく(だってあちらはハードSF)、この面白さは、大人になってわかる代物だ。表紙に騙されてはいけない。
「九百人のお祖母さん」に収録されている短編は、意図的かもしれないが、後半に行くほど、どんどんタガが外れていく気がした。収録順については、浅倉久志氏が読後感を損なわないよう配慮されているので、それは間違いないかなと思う。印象的なのは、やはり表題作(この面白さ、当時じゃ絶対わからんわ)。そして、中でもとりわけナンセンスなのに好感度が高かったのはラストの「千客万来」。「日の当たるジニー」は奇想小説の最高峰っていう感じ。関西弁の「ブタっ腹のかあちゃん」、なぜに関西弁!? すごい面白いですわ。ゼッキョー、ゼッキョー!の「町かどの穴」はシュールでドタバタ!
そしてひとつ気がついた。ラファティの書く物語の、ちょっと常識とのバランスがずれているこの感覚は、ムーンライダーズの詞に近いものがある。個人的にはそう思った。同意が得られるかどうかは自信がないが、そんな気がした。うーん、なんかめちゃくちゃ個人的な書評になっちゃったなぁ。まぁいいか。