たったひとつの冴えたやりかた
J.ティプトリー.Jr 著 浅倉久志訳 
すでに文庫として刊行されている「たったひとつの」からスピンアウト、改訳されて出されたソフトカバーの本。新書サイズでとても軽い。上質な本といった印象。短編三つのうちの最初の物語を抽出して一冊にしたものなので、あっという間に読みきることができる。行間もゆったりしているので、電車で読むのに最適。
それにしても、なぜこれなんだろうか? という気がしないでもない。が、文庫版の少女漫画炸裂の表紙と挿絵が恥ずかしい人にはコッチのほうが絶対いいし、人にも勧めやすいボリュームとセンスなんじゃないかと思った。肝心の改訳は、同じ翻訳者の手によるもので、さすがとしか言いようのないスムーズな言葉運びであるが、旧約版でちょっと気になった時代を感じさせる言い回しが、全てきれいに取り除かれ、洗練度が増している。旧版(というか文庫版)で満足している人には別段どうということはないと思うが、ティプトリーに興味を持っている新しい読者には大プッシュしたい。最初に読んでほしい一冊。
それにしても、コーティーとシルのやり取りは瑞々しさに満ちている。いいなぁー。