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追憶のハルマゲドン(Armageddon in Retrospect And Other New And Unpublished writings on War and Peace)

追憶のハルマゲドン
カート・ヴォネガット 浅倉 久志・訳
4152089474

ヴォネガット没後一周年を記念して出版された未発表短編集を中心に編まれた本。序文は長男のマーク・ヴォネガットによるもので、これがすこぶるよい文章で、ほんとに泣ける。身内だから書ける追悼文だと思った。ヴォネガットのすばらしさを再認識できた。

収録されている短編集の大半は、第二次世界大戦をモチーフにしたものである。ヴォネガットのエッセイで戦争について語られている本を読んでいたせいか、ちょっと身構えていたが、収録されている作品はユーモアにあふれ、爽やかさすら感じられた。人を描くことに力を注いだヴォネガットならではの着眼点だと思った。

中には、ヴォネガットにしては珍しくミステリタッチの作品がある。「サミー、おまえとおれだけだ」がそれで、これまで発表されたヴォネガットの小説の中でかなり珍しいタッチだと思う。言ってみれば倒叙法か。最初に結末を描くことを信条としたヴォネガットらしい。

唯一、戦争に関係のない作品が表題作であるが、これがどうして未発表だったかと驚いた。というのは、実を言うと、短編ではなかなかヴォネガットらしさを味わうことが難しいのだが、この短いお話の中にはそれがある。読後感はまさにヴォネガット。なぜこれを表題作にもってきたのか、判ったような気がする。

それから、これだけは言っておかなくては。やはりヴォネガットは浅倉久志訳でなくては。今回、つくづく思った。優しさとアイロニーが表裏一体になっているこの語り口こそ、わたしが知っているヴォネガットだから。

お帰りなさい、ヴォネガット。また会えて嬉しいかったです。ほんとうに、ありがとう。R.I.P.

コメント (6)

そういえば、モンキーハウス…所収の『ハリスン・バージロン』が映画化されています
http://www.finallyequal.com/

でも、オフィシャルサイトで見られる予告編だけで、原作の要素はほぼ描き切られちゃってるような…


viewbooさん、
ええー!?ハリソン・バージロンですか。
映像、きれいですね。短編だし、原作の要素を膨らませてる点が未発表要素なのかな。
あ。猫のゆりかごはどうなったんでしょ……。

「ヘルボーイ」や「パンズラビリンス」のギレルモ・デル・トロが、スローターハウス5のリメイク企画を進めているそうです
http://www.getthebigpicture.net/blog/2008/9/5/guillermo-del-toro-to-remake-frankenstein-slaughterhouse-and.html

もっとも、この記事のタイトルに"Next Decade"とある様に、製作中の「ホビットの冒険」2部作以降、かなり待たされる模様

そうなんですか。ヴォネガット映画化祭り状態なんですね。
リメイクの前に日本語字幕付DVD(勿論NTSC)を出してほしいなと思います。
って映画監督には関係ない要求ですねー。

ろー:

お久しぶりです。
以前『デッドアイディック』なんかでコメントさせてもらったものです。
ようやく出ましたね、ハルマゲドン。

僕は、『一角獣の罠』と『略奪品』が気に入りました。
あの子供の描き方は…すげぇなぁ。
ヴォネガットの息子になりたいです。

『追憶のアルマゲドン』はなんとなく『バーンハウス効果』とか『エピカック』系ですね。とてもヴォネガットらしくてうれしくなる一話でした。

ろーさん、
まってました!って感じですね。
「一角獣の罠」、よかったですね。奥さんが布切れに執着する描写はなんともいえずヴォネガットらしさでいっぱいでした。
「略奪品」のラストは夢に出そうだなぁ。ストレートな印象でした。
あとは、「バターより銃」もすっごく好きでした。おなかすいてるときに読むと大変です。
この本は、個人的にヴォネガットの他の短編集のなかで一番好きですねー。

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2008年9月 4日 16:58に投稿されたエントリーのページです。

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