オヨヨ島の冒険 (角川文庫―リバイバルコレクション)
小林 信彦
初めて読んだ文庫本は、小林信彦の「オヨヨ城の秘密」だった。小学校5年生くらいだったと思う。内容はすっかり忘れてしまったが、マゼンタ色の表紙をよく覚えている。
あれから30年近くが経ち、とっくに絶版の憂き目にあっていたオヨヨ大統領シリーズの第1作目がこのほど復刊の運びとなった。なんとめでたい! ということで、「横溝正史読本」に続き、復刊記念にこちらから読んでみた。(ただし、わたしが手にしているのは、いつか古本屋さんで集めたもの。バーコードのない時代の本で、挟まっている広告は何と「横溝正史フェア」。「八墓村」と「本陣」映画化のタイミングのときのもの)
この小説には、70年当時の流行が随所に織り込まれているため、すべてのギャグに笑えるわけではない。しかし、このナンセンスっぷりは今も十分な破壊力を持っていると思った。ここにあるのは「古きよき懐かしい昭和」ではなく、シニカルでリアルな昭和が描かれている。そのせいか、読んでスカッとした気持ちになる。それにしても、オヨヨ大統領とその部下たちのなんと魅力的なことだろうか! 今ひとつ残虐に徹することのできない極悪人、オヨヨ大統領。構想は悪いヤツそのものなんだけど......。また、実弟・泰彦氏による挿絵もすばらしかった。この勢いで、ぜひともオヨヨ大統領シリーズをすべて世に出してほしい。お願いします、角川さん!