ブラッドベリ2002年の短編集。2008年、伊藤典夫の名訳により翻訳刊行。
21世紀型ブラッドベリは、新しいエンジンを手に入れ走行距離を伸ばしている堅牢な自動車のようだ。乗り心地はどこまでもコンフォータブル。古びない感性の泉といってよい。ここ最近のブラッドベリは出版数も増えているせいもあり、邦訳も実にたくさん出ていて、ファンにとって嬉しいこと限りなしなのだけど、伊藤訳の安心感ときたら、もう別格なのだ。訳者あとがきまで、その流れをせき止めない。実にすばらしいなぁ。
この本が、文庫で出てるのがもったいないかもと思ったが、これに上質な革製のカバーをかけて、ラッピングしたら、ものすごくすばらしいクリスマス・プレゼントになるのではないだろうか。愛する人に手渡ししたらきっとステキだろう。そんな短編集だ。特に気に入ったのは「ドラゴン真夜中に踊る」「何もない土地には動く場所がある」「タンジェリーン」そして「時の撚り糸」。切なさと愛情、そしてほんの一さじの奇想。ブラッドベリの快進撃、どこまで続くのか。期待しています、スーパーおじいちゃん!