スプーク・カントリー
ウィリアム・ギブスン 浅倉久志 
ウィリアム・ギブスン2007年の作品。「ニューロマンサー」「ディファレンス・エンジン」などの名前は知っていたけど、今までギブスンはずっと読んでこなくて、今回初めて読了した。何故かものすごく時間がかかった。
ホリス、チトー、ミルグリム三者三様の視点で物語が進み、徐々に彼らの中核に近づいていき関係がわかったとき、あっという間にクライマックスを迎える。物語の運びはスロースターターで、徐々に加速度が増し、ラストは華々しい。そしてラストの着地はとても穏やかだった。細かな点では、チトーが逃走するシーンの展開がとても好きだ。
読んで気になったのは、「臨場感アート」の存在。物語は2006年の設定で、臨場感アート以外の描写に関しては、現代のアートシーンやカルチャーで普通に使われているテクノロジーが縦横無尽に登場する。ところが、「バイザーを被ることで立体視によるインスタレーションを様々な場所で体感できる」技術は、2009年現在でも普及していない。ディズニーランドやテーマパークに行ったら近いモノは体感できるかもしれない。しかしながら、少なくとも新宿の街にそういったインスタレーションが発生する可能性は、少ない気がしてリアリティを感じなかった。そこが実は残念だった。