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2009年5月 アーカイブ

2009年5月 5日

楽園への疾走(Rushing To Paradise)

楽園への疾走 (創元SF文庫)
J.G. Ballard 増田 まもる
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バラード1995年の作品。おっそろしい小説だった。実はだいぶ前に読み終わったのだけれど、しばしボーゼンとして、レビューが書けなかった。とはいうものの、今も書けるような心理状態ではないので、もしかしたらレビューは改訂するかもしれない。

ひとつの運動がうねりのように変化して、どんどん位相がずれていく様子は、もう壮絶の一言。ああー、だめだ、これ以上書く言葉が見つからない。近年まれな衝撃を受けた一冊。

虐殺器官

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
伊藤 計劃
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「ハーモニー」から先に読んだので、順番がちがうけど、伊藤計劃さんはラストが毎度すごいなぁと思った。このラストはとてもいい。

いいのだけど、話を運ぶ課程での主人公の心象風景が、なんというか中2病みたいで、どこか絵空事のような感触がぬぐえなかった。この読後感は「ハーモニー」にも通じていた。

虚無感が全編に流れる小説はこれまでもあったけど、伊藤さんの作品には独特な青臭さがある。ほんとうに残念。この作家は、死んではいけなかったと思う。年を取ってから、どんな作品を書くのかが本当に気になる人だ。謹んで哀悼の意を捧げたい。

2009年5月11日

夢みる宝石(The Dreaming Jewels)

夢みる宝石 (ハヤカワ文庫SF)
Theodore Sturgeon 永井 淳
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シオドア・スタージョン 1950年の作品。

長編のスタージョンを読むのは2作目だけど、設定は「人間以上」に通じる。音楽のエッセンスが効いて、ファンタジックな雰囲気も堪能できた。ラストは期待していた感じで、ほんとうによかった。異端を書かせたら、スタージョンに並ぶものはない。しかしこの異端故、正当なエンディングに、ついつい涙してしまうのだった。

生き延びよ!

2009年5月21日

忙しい日でも、おなかは空く。

忙しい日でも、おなかは空く。
平松 洋子
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椅子とテーブルのある書店で休憩中に偶然手に取った。ワタクシ、エッセイの類は苦手なので普段は手に取らないし読まないのだが、装丁の手触りが気になってつい手に取ってみたところ、最初の文章からして実にいい。ただの塩トマトが、実に実に美味そうに描写されているのだ。

書いてあることに嘘がなく、そして見栄がない。(この手の本で「見栄がない」ってとても重要だと思う)。美味しいモノをいかに美味しく頂くかに心を砕く。時には遠回りをして見つけた美味しさに膝を打つ。そして、遠回りをしたことの意義を見いだす。トーンを抑えた写真も素晴らしい一冊。

2009年5月26日

[DVD]スローターハウス5(Slaughterhouse5)

スローターハウス5 [DVD]
ジョージ・ロイ・ヒル
B001P7BJFM

原作の大ファンなので、とても嬉しいソフト化だった。映像で再現されるエピソードの背景を、原作から脳内補完して観てしまうので、わたしはよい鑑賞者ではなかったと思う。が、「補完しないと理解できない」とも言えるのかもしれない。たとえばワイルド・ボブやハワード・W・キャンベル・ジュニアが登場するシーン、彼らがどういう人なのかがわかったのは原作を読んだ人だけだろうし、検眼医としてのビリーの描写がないので(診察のシーンとか)、彼が復員後何をしていた人かがわからない、などなど。また、字幕スーパーで観たのだが、役者たちの会話から推測しても、コトバをはしょりすぎの感があった。吹き替えで観た方が良かったかな。

この映画は、人生において「もしあのとき~~だったら」と後悔したり、過去を改変するのではなく、悲しいことやつらいこと、理不尽なことも含めて、全てを受け入れることを説く物語だと思う。この辺り、映画での表現はなかなか難しいものがあると思う。が、飛行機に乗ったときに、フライトを止めようとしたビリーの描写は、淡々と人生を受け止める彼の生き方において唯一、人間臭さがにじみ出た重要なシーンだと思った。

映像の美しさは息をのむ。そして、あのラストシーン、わたしは大好きです。

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