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2009年7月 アーカイブ

2009年7月 4日

オチケン、ピンチ!

オチケン、ピンチ!! (ミステリーYA!)
大倉 崇裕
4652086334

第1作目「オチケン! 」じゃなくてコッチを先に読んでしまった。どうやら続編らしいのだけど、あまりその辺は気にならなかった。とても面白かった! いいなぁ大学生活。そしてキャラクターがいい。中村がかなりツボであった。落語の引用も楽しくて、ぐんぐん読ませる。あっという間に読み切ってしまった。二つのお話しが入っているんだけど、このラスト、これまた続編があるってぇことかい!?

今のところ「ミステリーYA!シリーズにハズレなし!」状態が続いている。爽やかな読後感、充実感は、ミステリの可能性をうんと広げてるように思う。(読者層はずいぶん異なるけど)SFの可能性をうんと広げている「奇想コレクション」に近いモノを感じる。こっちも「ハズレなし!」なんですが。「オチケン!」読まなくちゃ。面白かったんだよぉ。

2009年7月 9日

渚にて(On the Beach)

渚にて【新版】 人類最後の日 (創元SF文庫)
ネヴィル・シュート/佐藤 龍雄
4488616038

人類最期のときが迫る中、どう生きるか。これが最近のハリウッド映画なら、無法地帯化して、人々は残らずパニックになって、ぎゃあぎゃあとやかましい内容になっているような気がするが、この小説は最期まで穏やかだった。家庭を持つ者、持たない者、そして失った者。それぞれが選択した最期のときは、それぞれに愛おしいものだった。

もし余命を宣告されたら、どう残りの人生を過ごすか。それを考えたことは誰もがあると思う。この小説で提示された最期の過ごし方は、とても理性的で、とても穏やかで、尊厳に満ちていて、優しくて、人間味に満ちていた。静かな、穏やかな小説だった。

ただ、主人公がいつの間にかホームズからタワーズにすり替わっていたこととか、出てくる女性陣の誰にも共感がもてないとか、根本的なツッコミはある。しかしながら、それを凌ぐ魅力があると思った。タワーズが家族のお土産を買うシーンでもう涙、涙。ホッピングを見たら「渚にて」を思い出すに違いない。関係ないが、タワーズのことはずーっと脳内でデヴィッド・バーンの容姿に変換されていたことも記しておく。

2009年7月23日

少女たちの羅針盤

少女たちの羅針盤
水生 大海
4562045027

原書房さんのプレゼント企画に応募して送っていただいた本。でもレビューは普通に書くのだ。

とてもよかった! 青春群像劇、という言葉があちこちで聞かれるが、その評価はホントだった。高校生たちのみずみずしい青春、とってもいい! 周囲を徐々に巻き込んで、劇団の評価を上げていくその過程。ああ、いいなぁ、青春万歳だ。

4年前と現在が交差するカタチで物語が進行する。「過去」のパートは三人称、「現在」のパートは一人称で書かれていた。ここで一番気になった点は、「過去」パートのメインになる人物が4人いて、くるくると物語の主眼が変わるところだ。そのせいで、感情移入がしづらく、読みづらかった。劇団「羅針盤」の4人はそれぞれに魅力的なのだが、おそらく、「現在」のパートで一人称で語っている「わたし」が誰で、殺されたのが誰かを、読者に推測させるため、あえて三人称で話を進めたのだと思う。けれど、「現在」と同様に、一人称で進めても良かったんじゃなかろうか。語り部がその都度入れ替わるだけだし。と思った。

ラストはキレイに収まってる気がするが、もう少しどんでん返しがあっても良かったかも、と思う。といった部分を含めても、とても楽しくラストまで一気に読めた。いやー、いいなぁ。実に青春だねぇ。4人のバックグラウンドが上手い具合にラストに持ってきてる感じも良かった。どうするんだろう、こんなに脱線して、と思ったけど。いやいや。なかなか。

2009年7月27日

ダブリナーズ(Dubliners)

ダブリナーズ (新潮文庫)
James Joyce
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すっごくよかった。こういう市井の人々の何でもない毎日の、何でもない出来事に喜怒哀楽が凝縮されている。そんな話が本当に好きだ。成功を収めて意気揚々としている(ように見える)友人との再会の後、自身の夢破れた現実を苦々しく受け入れるような、そんな人間模様。誰だってきっと涙するんじゃないだろうか。じわっときた。人生とはなにか。ささやかな暮らしとは何かを、静かにかみしめながら読んだ。

そして、「ダブリン市民」をあえて「ダブリナーズ」と改称した、訳者・柳瀬尚紀氏の情熱がいい。翻訳モノが私は大好きなんだけど、やはり訳者後書きが長いもの、熱いものが嬉しいのだ。情熱と愛情をぎっしり詰め込んだ仕事ぶりを熱く語ったこのあとがき、いつか読んだディレイニーの「アインシュタイン交点」を訳した伊藤典夫氏のあとがきに迫る熱を感じた。すばらしかった。

証言! 日本のロック70's

証言! 日本のロック70's ニューロック/ハードロック/プログレッシヴロック編 (単行本)
4903951154

70年代を牽引してきたミュージシャン自らが当時を振り返ってトークを展開する、といった対談集。70年代はさすがにリアルタイムではないのだが、80年代がリアルタイムだったわたしにとって70年代は遡って聴いてきた時代の音なので、ついて行けなくはなかった。

それにしても当時のミュージシャンはみんなタフだけど、聴き手がそれに負けないくらいタフだったのもよくわかった。「時代」ってそう言うことなのかな、と変なところで感心してしまった。彼らがいつも戦ってきたのも、音楽に対してひたすらに真摯だったからなんだろう。80年代とはかなり空気が違う気がする。このあたりは、ぜひとも続編の80年代篇を期待して待つことにしたい。

それにしても土屋昌巳氏がそうだったとは知らなかった。彼はてっきり80年代を語る人だとばかり思っていたら......。面白いですねぇ。

2009年7月28日

多聞寺討伐

多聞寺討伐 (扶桑社文庫)
4594059228

時代モノSF、ということで、江戸の情緒が一杯、気持ちのいいやりとり、お色気もいい案配で、最後までとっても楽しい一冊であった。基本、タイム・パトロールによる活動がオチになっているのでワンパターンな印象はぬぐえないのだけど。現代から過去へするりと移りゆく構成の「歌麿さま参る」が特に良かった。

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