エドガー・アラン・ポーの世紀 生誕200周年記念必携
八木敏雄・巽孝之 編
来る2009年9月19日~20日のポー大会に備えて読了。とてもおもしろかった。一つ一つの項目がコンパクトにまとめられ、まるで講演会を傍聴しているような感覚で読み終えることが出来る。引用された文献の紹介も丁寧で、興味に応じて当たることが出来る。
わたしが特におもしろいと感じたのが、ラストの「現代のポー・ブックガイド」で、ポーの影響とは書き手ではなく読み手の目のことを指す、と説かれていた点だ。これが目から鱗で、きっと誰もがそれぞれの読書体験の中からそれぞれのポーを見いだしたのではないかと思う。わたし自身、「群衆」を扱うポーについては、ゴダイゴの「孤独な面影(A FACE IN THE CROWD)」(アルバム「Deadend」収録)を思い出した。この曲は、群衆の中の表情のない男とは自分自身であった、と実にポー的な世界観を描いている。(作詞は奈良橋陽子。)また、江戸川乱歩をモチーフに小説に仕立てた久世光彦「一九三四年冬―乱歩」も忘れがたい。この小説には、乱歩が横恋慕する美貌の人妻、アナベル・リーが登場し、そこに描かれる、昭和の初めのホテルの描写は、ポー的であると言っていいと思う。
そんなことをいろいろ語りたくなるような一冊。まさに「必携」書であろう。
DEAD END
GODIEGO 
一九三四年冬―乱歩
久世光彦