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2009年11月 アーカイブ

2009年11月28日

赫眼

赫眼 (光文社文庫)
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ホラー短編集。どれも怖くて良い。家にまつわる怖い話しが軸になっていて、これはぜひとも古い建物で読みたいと思った。中でも特に「よなかのでんわ」のラストがいい。一種の言葉責めのような恐怖表現こそが三津田信三の真骨頂だと思う。長編とは違ったおもしろさがある。ペダントリー一歩手前のマニアック表現も嫌みが無くてさわやかですらある。(小栗虫太郎のようなねちねちした感じではない)

本陣殺人事件

本陣殺人事件 (角川文庫―金田一耕助ファイル)
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私事であるが、今月アタマに倉敷・真備で開催されている「巡・金田一耕助の小径」ミステリーウォークラリーに参加してきた。この本はその予習のために旅の間読み返したモノ。読んでから参加して良かったとおもった。「三本指の男が最初に目撃された場所」とか、「登場人物の乗った乗り合い自動車が交通事故を起こした場所」といった具合にチェックポイントが指定されていたので、あやふやな記憶ではこれ楽しさ半減だったかも!と思った。

ウォークラリーはともかく、「本陣殺人事件」、非常に良くできた小説。いまから60年前に書かれたものとは思えない。瑞々しさがこの小説の持ち味なんだろうと改めて思った。ときどき思い返しては読みたくなるのが横溝正史。その魅力に触れる最適な一冊だと思った。名著。

海を失った男(The Man Who Lost the Sea and Other Stories )

海を失った男 (河出文庫)
シオドア・スタージョン 若島 正:訳
4309463029

独特の倫理観、スタージョンだ。これはもうまぎれもない。「シジジィじゃない」や「成熟」「三の法則」のような、もう独特としか言いようのない理屈をこねまわすような雰囲気の作品に惹かれる。そして、音楽をモチーフにした作品がほんとうにいい。スタージョンは音楽だ。行間から音楽が聞こえてくる。

あなたのための物語

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
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これはすごいと思った。ページを繰る手が止まらない。文章も巧み、会話も洒脱、設定も本当に近未来はこうなるんじゃないかと疑う余地がないように感じた。

死がモチーフに選ばれたこの小説は、ジャンルは違うけれど先日読んだアイラ・モーリーの「日曜日の空は」を思い起こされる。あの本で耐えた重苦しさを、今度は当事者の側から疑似体験するような本だった。カバーの白さにはこんな意味があったのかと装丁をしみじみ眺めた。切ないけど、ラストには救いを感じた。よかった......。

冒頭の壮絶な死の描写。すさまじいとはこのことだろう。

曲がれ!スプーン

曲がれ!スプーン
4152090774

「あなたのための物語」のあとにコレをチョイスしてしまった。同じ判型で、同じように白いカバーなのに、この落差! いや、ほっとします。すばらしい。読書とは娯楽だ。電車で読んで声を出してはははっと笑ってしまったこと何度か。危険だ。

「曲がれ!スプーン」と「サマータイムマシン・ブルース」の後に続く「犬も歩けば」、これがよい。しみじみする。ほっこり系SFと呼ぼうかと。

歌の翼に(On Wings of Song)

歌の翼に(未来の文学)
トマス・M・ディッシュ 友枝康子:訳
433605116X

ものすごくよかった! 読み終えたくない作品だった。スタージョンが描くような音楽の世界観がディッシュにも息づいていたとは。ふと、会話やシチュエーションの断片が読み終わってだいぶ経つのに心によみがえってくる。そしてあの美しいラスト。なんてあっけないんだろう。しかし、この瞬間のために長く苦難の道をダニエルは歩いていたんだろうなぁと思った。ふさわしいラストだと思う。

読み終わった後もなお尾を引く物語。心の中でスタンディング・オベーション。ブラヴォ!

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