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2010年2月 アーカイブ

2010年2月28日

夜想曲集(Nocturnes)

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
カズオ・イシグロ 土屋政雄:訳
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ちょっと昔、12インチシングルという規格があって、これはLPレコードと同じサイズの盤なのに3~4曲しか入っていない、ミニアルバムのようなモノ。シ ングル盤と同じ45回転で再生するため音がいい。この短編集は、そんな12インチシングルを思い起こさせる。5編に貫かれる甘く切ない大人の恋愛、音楽へ の限りない愛情、人生への賛歌。丁寧に編まれた、すばらしい作品集。
 

喋る馬

喋る馬(柴田元幸翻訳叢書)
バーナード・マラマッド
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しくしく泣く大人、惨めで貧しい。なのに穏やかな物語。何度か読み返したいような、じんわり滋味に満ちた一冊。ちょっと奇想も入ってて好きです。
 

通訳ダニエル・シュタイン

通訳ダニエル・シュタイン
リュドミラ・ウリツカヤ 前田 和泉:訳

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通訳ダニエル・シュタイン(下) (新潮クレスト・ブックス)

上巻の感想:八百万の神がいる日本では考えられない異国の宗教観。きめ細かな手紙のやりとりから、次第にそれらが実感として伝わってくる。厳しさと優しさがじわりと来る。下巻も楽しみです。

下巻の感想:ゆっくりゆっくり読み終えた。読んでいる間、泉のほとりのエリヤ教会にいつでも遊びに行けるような気持ちになった。第5章の重苦しさと、ラストに向けての 作者による手紙、そして最後に、静かに静かに涙した。まるで幻のような、おとぎ話のような……。そしてホントにそんな人がいたという希望に、打たれる。

 

余談:特筆すべきは、浅倉先生訃報の直後に「通訳ダニエル・シュタイン」を読み終えたこと。これが本当に救いでした。泣きました。神様に祈る方法がわからないという人に対し、ダニエルが大切な人みんなを手のひらにのせて、神様のほうに持ち上げる様子を
イメージするといいんだよ、って……。

そのあとしばらくはヴォネガットしか読みたくなくて、拾い読みや再読ばかりしていました。そんな中、改めて「追憶のハルマゲドン」はホントにいい短編だなぁと思いました。あっという間にあの世界観に飛び込める。音楽のようにリズムに乗れる。コトバの運びがすこぶる安心。これまであたりまえのように読んできたけど、こういう体験って、すごいことなんじゃないかなって思っています。

 


 

さよならハッピー・バースデー(Happy Birthday, Wanda June)

さよならハッピー・バースディ
カート・ヴォネガット 浅倉 久志:訳
Happy Birthday, Wanda June

この本の前書きがすごく好きだ。1時間半くらいの上映時間の戯曲だろうか。ヴォネガット小説の持つ濃密な体験はそこにはないが、他の作家では決して書けないような価値観にあふれている。復刊を願っています。

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