通訳ダニエル・シュタイン
リュドミラ・ウリツカヤ 前田 和泉:訳


上巻の感想:八百万の神がいる日本では考えられない異国の宗教観。きめ細かな手紙のやりとりから、次第にそれらが実感として伝わってくる。厳しさと優しさがじわりと来る。下巻も楽しみです。
下巻の感想:ゆっくりゆっくり読み終えた。読んでいる間、泉のほとりのエリヤ教会にいつでも遊びに行けるような気持ちになった。第5章の重苦しさと、ラストに向けての 作者による手紙、そして最後に、静かに静かに涙した。まるで幻のような、おとぎ話のような……。そしてホントにそんな人がいたという希望に、打たれる。
余談:特筆すべきは、浅倉先生訃報の直後に「通訳ダニエル・シュタイン」を読み終えたこと。これが本当に救いでした。泣きました。神様に祈る方法がわからないという人に対し、ダニエルが大切な人みんなを手のひらにのせて、神様のほうに持ち上げる様子を
イメージするといいんだよ、って……。
そのあとしばらくはヴォネガットしか読みたくなくて、拾い読みや再読ばかりしていました。そんな中、改めて「追憶のハルマゲドン」はホントにいい短編だなぁと思いました。あっという間にあの世界観に飛び込める。音楽のようにリズムに乗れる。コトバの運びがすこぶる安心。これまであたりまえのように読んできたけど、こういう体験って、すごいことなんじゃないかなって思っています。