フレンチ警部と毒蛇の謎 (Antidote to Venom)
フレンチ警部と毒蛇の謎 (創元推理文庫)
F・W・クロフツ 霜島 義明

倒叙のクロフツらしい作品。「クロイドン」より「関税品はありませんか」に近い。前半の倒叙部分が半分以上を占め、なかなかフレンチが出てこないので、ば たばたに畳みかけて終わってしまうのではないかと危惧したのだが、不覚にもラストで泣いてしまった。クロフツの魅力とは、綿密な捜査の描写にあることは異 論はない。が、もしかしたら人間の弱さやもろさを見つめる眼差しの暖かさに大きな魅力があるのではと思った。大作「樽」「クロイドン」には及ばないが、大 好きな作品。文中で言及のあったシグニット号も復刊して欲しいなぁ。




