メイン

小林信彦 アーカイブ

2008年10月 4日

横溝正史読本

横溝正史読本 (角川文庫 (よ5-200))
小林 信彦
4041382165

嬉しいねぇー。小林信彦による横溝正史ロングインタビューがようやく読めた! 長らく絶版だったし、古本は高額で取引されてたから、このたびの復刊は本当に嬉しい。一気に読んでしまった。

新青年の頃、「本陣」「蝶々」「獄門」の三冊、そしてクリスティーを巡る話題が大きな柱。乱歩、雨村、水谷準は勿論のこと、渥美清や果てはSFまで。博覧強記同士の話題はあっちこっちに飛びまくり、「これからは半村良をおおいに読むとしましょう」なんて横溝先生、やっぱりスーパーおじいちゃんだ。特に印象的だったのが「対談を前に読んでおかなくては」と生前の夢野久作から寄贈されていた「ドグラ・マグラ」を読んだ話。あまりにも本の内容が強烈だったせいで、書棚の大きなガラスを割っちゃったくだりは興味深かった。夢野と横溝、この二人の作家には殆ど接点がないと思っていただけに、双方のファンとしては嬉しいことこの上なかった。これも丁寧に話し込んだからこそ引き出せたエピソードで、貴重なインタビューだと思う。

惜しむらくは、文庫版で削除されてしまった乱歩没年の日記だ。権利の問題か? どういう経緯で削除されたのかはわからないが、読みたかったなぁ。また、最初の出版からかなり年月が経っているので、注釈がそろそろ必要ではないかと思った。もともと、わたしは探偵小説好きなので、このあたりの話題には結構ついていけたけれど、戦前の探偵作家の名前等は大部分が現在では忘れ去られている状況だ。21世紀に復刊したなら、やはり解説がほしいところ。資料価値の高い本なだけに、そのあたり手を入れる必要はあるかもしれない。いや、もしかしたら「完全版」という形で後年出るかもしれないね。って勘ぐり過ぎかしら。

いろいろ言ったけど、とにかく楽しい一冊だった。戦前の探偵小説ファンは勿論のこと、戦後の推理小説誕生に興味のある人なら必携の一冊だろう。

2008年10月 6日

オヨヨ島の冒険

オヨヨ島の冒険 (角川文庫―リバイバルコレクション)
小林 信彦
4041382017

初めて読んだ文庫本は、小林信彦の「オヨヨ城の秘密」だった。小学校5年生くらいだったと思う。内容はすっかり忘れてしまったが、マゼンタ色の表紙をよく覚えている。

あれから30年近くが経ち、とっくに絶版の憂き目にあっていたオヨヨ大統領シリーズの第1作目がこのほど復刊の運びとなった。なんとめでたい! ということで、「横溝正史読本」に続き、復刊記念にこちらから読んでみた。(ただし、わたしが手にしているのは、いつか古本屋さんで集めたもの。バーコードのない時代の本で、挟まっている広告は何と「横溝正史フェア」。「八墓村」と「本陣」映画化のタイミングのときのもの)

この小説には、70年当時の流行が随所に織り込まれているため、すべてのギャグに笑えるわけではない。しかし、このナンセンスっぷりは今も十分な破壊力を持っていると思った。ここにあるのは「古きよき懐かしい昭和」ではなく、シニカルでリアルな昭和が描かれている。そのせいか、読んでスカッとした気持ちになる。それにしても、オヨヨ大統領とその部下たちのなんと魅力的なことだろうか! 今ひとつ残虐に徹することのできない極悪人、オヨヨ大統領。構想は悪いヤツそのものなんだけど......。また、実弟・泰彦氏による挿絵もすばらしかった。この勢いで、ぜひともオヨヨ大統領シリーズをすべて世に出してほしい。お願いします、角川さん!

2008年10月15日

怪人オヨヨ大統領

怪人オヨヨ大統領
小林 信彦
4041382025

ジュヴナイルシリーズ第二弾。一冊目「オヨヨ島の冒険」のラストから冒頭が引用されていて、続けて読むとおもわずニヤリ。それにしても、今回もいい加減で大変によろしい。どこかシニカルな視点のルミ、人情味がどうしてもにじみ出てしまう悪党・オヨヨ大統領。楽しい読書時間が過ごせました。

オヨヨ城の秘密

オヨヨ城の秘密 (角川文庫 緑 382-3)
小林 信彦
4041382033

何を隠そうこの本こそが、私が生まれて初めて手にした文庫本であった。何年ぶりだろう。相変わらず楽しい。

ジュヴナイルオヨヨ大統領シリーズ第三弾。ルミに妹ができて、そして舞台は海外へ! 登場人物も、コランボさんとか旦那警部とか。旦那さんは鮎川哲也を読まないとわからないですね。前回には鬼面さんなんてキャラが出てたし。(「黒いトランク」、名作です)。 そして旦那警部、ボコノン教まで口にしだす。一体、どこまで遊んでいるのだろう、小林信彦恐るべし。時代が時代なので、今となっては通用しないギャグも多いけど、なんのなんの、二十一世紀の今も十分楽しく読めました。いよいよ次から大人向けに入る。ワクワクです。ビバ、オヨヨ!

2008年11月 6日

大統領の密使

大人向けに書かれたオヨヨ大統領シリーズ第一弾。スラップスティックぶりはジュブナイル版から引き継がれていて相変わらずなんだけど、子供向けのときのほうが切れがよかった気がする。キャラクターの描写のせいだろうか。大人のばかばかしさをシビアに見つめる冷たい子供の目線というのは、却ってこういうナンセンスドタバタ系には必要な要素なのかもしれない。ということで、ちょっと残念。犯人は意外だった!

About j_018_kobayashi

ブログ「書かでもの記」のカテゴリ「小林信彦」に投稿されたすべてのエントリーのアーカイブのページです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のカテゴリは三津田信三です。

次のカテゴリは重松 清です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。