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P.K.ディック アーカイブ

2007年5月20日

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(Do Androids Dream of Electric Sheep?)

映画「ブレードランナー」の原作としても名高い、
フィリップ・K・ディックの1968年作品です。
翻訳は、かの浅倉久志さん。

「訳者あとがき」で浅倉さんが太鼓判を押していましたが
この言葉に偽りなしの名作! 息をつかせぬ展開でした。

わたしが受け入れられるタイプのSFといえば
ヴォネガットやブラッドベリといった類でした。
ハードSFは言葉使いが難解なだけでなく、その世界観への
感情移入(あっ!「電気羊」のキーワード!!)が
なかなかできなくて、うーん、わたしはあんまり
SFって好きじゃないのかしら…と自信を失っていましたが
それは間違いだった、と気づきました。

第3次世界大戦がおわって、放射能に汚染されきって
荒廃してしまった地球では、生きている動物を
飼うことがステイタスになっています。
以前飼っていた、ホンモノの羊が破傷風で死んでしまい、
その代わりに電気羊を飼っているリックは
隣人が飼っている馬を見て、どうしても生きている動物が
ほしくてたまりません。
火星から逃亡している8人のアンドロイドを仕留めれば
賞金が入り、憧れている動物を買うことができる…。

…動機はいたってシリアスなはずなのですが、
あらすじにしてしまうとなんともチープな印象。
この物語が「打ち解けやすい」のは、そういう設定に
あるのかもしれません。

そして、登場するお尋ね者となっているアンドロイドたちは
みんな魅力的です。
アンドロイドをつとめて「それ」と呼ぶことにしているリックの
気持ちがぐらぐらと揺らいでいき、生きていることとそうでないことの
価値観の境目がわからなくなってくる様子が圧巻でした。
サブストーリー的に登場してくるイジドアが、リックの追求劇に
絡んでくる描写は美しい展開でしたし、
途中で、状況がひっくり返されるような描写があり、
めくらましにあっているような錯覚を覚えます。

ラストシーンは、まさに映画のようです。
あ。映画化されてるんだった。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック 浅倉 久志
4150102295

2007年10月15日

高い城の男(The man in the high catsle)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)
フィリップ K.ディック 浅倉 久志
4150105685

高い城の男

ディック1962年の作品。

第2次世界大戦、ドイツ(ナチ)と日本が勝利を収め、アメリカを両国で二分している設定のお話。西海岸を日本が、東側をドイツが有している。それにしても、海外作家の小説で、これだけ漢字表記を用いられた日本人キャラクターが出てくるものは読んだことがない。日本人が、「古きよきアメリカ」に憧れを抱いていることなど、ディックはよく知ってるなぁと感心した。主人公の一人、田上の描写はそれにしても崇高だ。いや、日本人全体の描写が、崇高に寄り過ぎていないだろうか。そもそも、日本人はそんなに瞑想をしないだろう。まぁいいか。そう言う設定だ。日本軍も健在で、天皇は神だ。もしかしたら現実の日本人とは違った性質を持っている可能性はある。

この物語は、主人公が数人いて、平行してそれぞれのキャラクターの行動が描かれる。そして、お互いは直接的に、あるいは間接的にどこかで関係を保っており、だんだん糸がより合わさっていく。登場人物が多いせいか、感情移入できるキャラがなかなか出来なかったのだが、やはり最後まできて田上の存在は忘れがたいと思った。

11章以降は、それまで比較的淡々と綴られてきた物語の緊張の度合いが高まり、正直、恐怖を感じた。恐ろしいと思った。ラストで、田上が平和でおだやかな公園に腰を下ろして眺めているシーンがあるが、高官たちの間で取り交わされている巨大な動きとの対比が恐ろしい。それにしても、易経がここまで人々の心を支配している世界って、なんだか新興宗教のようではないか。先に、感情移入しがたいと書いたが、このことと関係が深い気はする。

2008年7月17日

パーマー・エルドリッチの三つの聖痕(The Three Stigmata of Palmer Eldritch)

パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 (ハヤカワ文庫 SF (590))
フィリップ・K・ディック
4150105901

P.K.ディック 1965年作品。ドラッグによるトリップ具合といい、ぐだぐだな主人公の心象風景といい、まさにディック節炸裂! ハリウッド映画のような展開にワクワクしつつ、ラスト間際の不可解でわけのわからない描写は独特。それでも一気に読める面白さはさすが!の一言。

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