夏への扉(The door into summer)
夏への扉
ロバート・A・ハインライン 福島 正実 
心には冬景色 輝く夏を捕まえよう
だから リッキー・ティッキー・タビー その日まで おやすみ
...というのは、吉田美奈子作詞による、山下達郎の曲「夏への扉」。わたしは今になってようやく、この名著を読了した。四半世紀が過ぎ、あの歌の意味がこういうことだったのか!と理解した。すばらしい意訳だと思った。
本題。この物語が書かれたのが1957年、舞台になっているのは1970年。57年当時、70年というのは相当の未来に映ったのだろうが、さらに時間を遡ること2000年。もう果てしない未来だと思われていたに違いない! ああ、そうなのに、もうすでに時は2008年。ハイヤード・ガールも、フレキシブル・フランクもいない。それにしても、この瑞々しさときたら! 若々しさにあふれていた訳もとてもよかった。青春と恋と仕事と、そして猫。そう、猫なのだ、ピート!!
この物語は、ホントウに純然たるSFだ。SFというと、オタクでマニアックでちょっと近寄りがたい存在かもしれない。私が好んで読むSFも本道からはちょっと道をそれたものばかりなので、あまり偉そうなことはいえないが、「夏への扉」は、純然たるSFにして、とても優しく、楽しく、切ない。まさしく「文学」だと思う。
それにしても、たとえばCADの開発を予感させるような描写など、ハインライン、なかなかやります。ただ、タイムパラドックスに関する記述には、ちょっと「んー?」と思うところも、正直あった。けれど、この物語ではこういうことなのだから、いいのだ。余談:本では「リッキイ・ティッキイ・テイヴィー」となっていて、「タビー」じゃなかった。ほんっとかわいかった。リッキイ。で、以下に挙げるCDに「夏への扉」が収められている。名作。
