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T.スタージョン アーカイブ

2007年11月21日

一角獣・多角獣(E Pluribus Unicorn)

一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)
シオドア スタージョン Theodore Sturgeon 小笠原 豊樹
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異色作家短編集第3巻のスタージョンである。このシリーズは1964年に刊行され、70年代に一度復刊された。しかし、この「一角獣・多角獣」を含む何冊かは復刊対称にならなかったため、稀少本としての価格が高騰していた。が、早川書房創立60周年記念として、復刊対象にならなかったものも含め、2005年に晴れて世に出ることとなったという、古くからの異色短編作家ファン・スタージョンファンにとっては「曰くつきも曰くつきの一冊」らしい。それにしても、この新装版の装丁の美しさときたら。ハヤカワとは思えません、なんていったら失礼かしら。ハードカバーなのに、軽いので持ち運びもラクラク。って何の紹介だ。

わたしとスタージョンの出会いは、間接的なものだった。キルゴア・トラウトのモデルになったのがスタージョンなので、この作家はどこかずっと気になる存在だった。が、以前は今ほどスタージョン本が出ている状況ではなかったので、未着手のままだったが、昨今のスタージョン祭りともいえる状況のおかげで、新しい読者にとっては、この上ない幸せな状況。ありがとう、本の神様。

「一角獣・多角獣」を一読して、これほど身につまされるような短編ってないんじゃないかと感じた。「孤独の円盤」の美しさ、孤独感への共感は多くの人の涙を誘うだろう。また、「死ね、名演奏家、死ね」の劣等感や被害妄想は誰もが抱く感情だし、それがまるで倍音のように膨れ上がっていく様子は悲しい。この短編のテーマ曲のタイトル『ダブー・ダベイ』演奏フレーズ " フー・ハー " という表現、音が聞こえてくるようですばらしかった。登場人物も魅力に富んでいる。短編とは思えない濃さ。そして、ラストの「考え方」の不気味さと凄みは、なんともいえない読後感を残す。


小笠原豊樹さんの「一角獣・多角獣」の翻訳を絶賛する書評が非常に多かった。実際読んでみて、すばらしいとわたしも思った。奇想コレクションから出ている「不思議のひと触れ」「輝く断片」は大森望さん編だから、安心して期待できる。(と思っていたら、今月またスタージョンが奇想から出ているじゃないですか!こちらは若島さん。)また、晶文社の「海を失った男」は若島正さんがSFマガジンで絶賛してはばからなかった。スタージョンの刊行環境は恵まれていると思う。21世紀はいい時代だな。

2008年1月18日

人間以上(More than human)

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)
シオドア・スタージョン 矢野 徹
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Amazonの画像がないな。スタージョン1953年の長編作で、矢野徹による訳が1963年と、半世紀も前のもの。3部構成で、特に第2部の「赤ん坊は三つ」がすばらしかった。と思ったら、「Baby in three」という短編で最初発表されたものだったらしい。登場人物も多岐にわたり、3部構成を通じて共通の登場人物が出てくるものの、オムニバスの中にオムニバスが入っているような複雑な構成だったが、結構すんなり読めた。構成が巧いな、と思った。

読んでるときには、次の展開が気になって、面白かった。面白かったんだけど、私自身、超能力モノ・超人モノが不得手と言うこともあり、読後感は「うーん」だった。宗教観の差もあるのかな? いや、スタージョンの短編を読む限りはそのあたりは特に感じなかったので、やはり超人モノが苦手なんだなと思った。以前読んだ矢野徹の「折紙宇宙船の伝説」の読後感に非常に似ていた。「人間以上」の影響が大きいのではないだろうか。「人間以上」による影響と言えば、石ノ森章太郎の「サイボーグ009」の発想の源になったと言う説もあるが、たしかにそれは感じた。特に、イワンに相当する赤ん坊の存在とか、超人ならではの悲しみと矛盾に対する苦しみなど、テーマや描写に相通じるものを感じた。古典的な名作なのだと思う。

ところで、わたしが読んだのは、ポケミスと同じ装丁の大変古いもので、以前、富士鷹屋で購入したものだ。この古本、巻末には訳者の検印がある。そう、「矢野」というハンコなのだ。これをたまたま筒井好きの某編集者に見せたとき、「矢野さんのハンコじゃない!!」とすごい食いつきだった。いーでしょいーでしょ。はっはっは。

2009年2月22日

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ(The [Widget], the [Wadget], and Boff)

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ
シオドア・スタージョン 若島 正:編
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奇想コレクションにハズレなし、再び! 日本オリジナル編のスタージョン短編集。どこから切ってもスタージョン。もうもう素晴らしすぎる。悲しい話を書くことなく涙腺を直撃する作家の筆頭にはカート・ヴォネガットがいるが、もうひとりあげるとしたら、それはシオドア・スタージョンだ。ごくごく当たり前の、普通にいる人々の営みに、ほんの少し位相のずれたスパイスがいい塩梅で利く。スタイリッシュで洒落もの。野暮ったさはこれっぽっちもない。

「必要」にしても表題作にしても、ちょっと説教くさくて、そこは長編「人間以上」や『一角獣・多角獣』の「死ね、名演奏家、死ね」にも共通している。でも、その教訓を得た登場人物たちは切り出したカステラみたいに、ぽろぽろともろい。そのもろさに、わたしは涙する。共感する。

余談だが「SFが読みたい2009」のアンケートに、この作品を2位に入れなかったことを後悔している。去年のうちに読んどくべきだった。傑作。

2009年5月11日

夢みる宝石(The Dreaming Jewels)

夢みる宝石 (ハヤカワ文庫SF)
Theodore Sturgeon 永井 淳
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シオドア・スタージョン 1950年の作品。

長編のスタージョンを読むのは2作目だけど、設定は「人間以上」に通じる。音楽のエッセンスが効いて、ファンタジックな雰囲気も堪能できた。ラストは期待していた感じで、ほんとうによかった。異端を書かせたら、スタージョンに並ぶものはない。しかしこの異端故、正当なエンディングに、ついつい涙してしまうのだった。

生き延びよ!

2009年11月28日

海を失った男(The Man Who Lost the Sea and Other Stories )

海を失った男 (河出文庫)
シオドア・スタージョン 若島 正:訳
4309463029

独特の倫理観、スタージョンだ。これはもうまぎれもない。「シジジィじゃない」や「成熟」「三の法則」のような、もう独特としか言いようのない理屈をこねまわすような雰囲気の作品に惹かれる。そして、音楽をモチーフにした作品がほんとうにいい。スタージョンは音楽だ。行間から音楽が聞こえてくる。

2010年8月 4日

The Perfect Host

The Perfect Host: Volume V:
The Collected Stories of Theodore Sturgeon

Theodore Sturgeon
1556432844

なんという風呂敷の広げ方! ラスト間際に登場するスタージョンに一杯食わされるような思いがしないでもないが、Perfect Hostとはそういう意味なのか……と。「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」とか「孤独の円盤」とかでもおなじみと言えばおなじみの、奇妙な生命 体(というよりも霊に近い?)のお話しであった。
 

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