●Graces ｜吉田美奈子

四季は繰り返しやってくるけど、永遠の愛なんてあるのかな……
生きる喜びも悲しみも苦しみもすべてを包括し、季節が巡る不思議と絡める歌。
現実を直視し、それでも人生はすばらしいと謳歌する。
この曲を聴いたコンサートからもう十年以上経つが、彼女の歌声はわたしを泣かせた。
周囲のひとも泣いていた。
歌詞の力、曲の美しさに加え、彼女の歌声に泣いたのだ。声の力に。

今なおこの曲をCDで聴くたび、わたしは涙腺が熱くなるし、あのときの気持ちを思い出す。
深い深い慈愛に満ちた感動だった。
そんな音楽を贈ってくれた吉田美奈子さんへの、わたしなりの感謝の気持ちを込め、絵に託した。

「気づけないはずの出来事を　素敵だと思える街のGrace」

そのGraceこそが、あの日の渋谷公会堂での歌声だったと、今もそう思っている。