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2007年8月31日

ワールドコンに行ってきた

world_con.jpg
Nippon2007に31日に行って来ました。初の日本開催となる世界SF大会(通称ワールドコン)ですが、私自身のSF歴が浅いため、SFコンそのものが初体験。いったい、どんなマニアが集まるのか、オタクの巣窟なのか、などなど不安がいっぱいだったのですが、横浜市民割引があることや、浅倉久志さんが出演する企画があることなどが後押しとなって、時間を作って一日だけ参加することにしました。怖かったら帰ってくればいいやーと思って。

ホントは朝9時半からのレジストレーションに行こうと思っていたのですが、うっかり寝坊。目が覚めたら9時だった。これでもう10時からの「回顧・カート・ヴォネガット」は見れないなぁー。ちぇ。なんだか出鼻を挫かれて、がっかりしながら、出かける準備。市営地下鉄に乗って桜木町へ。

駅に着いたら、看板のひとつも出てるのかなと思ったら......なんにも出てません。......せ、世界大会だよね? ワールドコンにいきそうな感じの人もいないし、一抹の不安を抱えながら、てくてくとパシフィコに向かいました。パシフィコに近づくにつれ、明らかにワールドコンに行くぜ行くぜという雰囲気の外人さんがちらほらと増えてきます。ちょっと安心。

会場近くに行くと、「レジストレーションまだの方は左手です!」と案内してる人がいました。外人さんが多いです。受付に行くと、結構列が出来ていました。そうか! 当日受付は、時間がかかるのか!! 前日に受付する人がいるというのはそういうことかー、とやっと理解しました。どのみち、10時からのヴォネガットには間に合わなかったようです。並ぶと「横浜市民割引申込書」が手渡されまして、思ったほど並びませんでした。15分くらいかな?

受付の奥に、アートショーを開催しているので、早速行って見ました。が、だれもいないよー。朝早いからかな。作品をちらと見て、まぁあとから見に来ればいいか、と思って、12時からの企画に参加するため、まずは腹ごしらえ。ぬるいカレーをかっこんで、いざ!!

まずは、「現代日本SF展望その1『ゴジラ』から『日本沈没』まで」に。1部と2部に分かれていて、すごい盛況でした。人が多すぎて、小松左京が見えない! 話は、戦後のSF界を牽引してきた人たちの話でしたが、ラスト間際の小松先生、何を言っているのかわかりませんでした。外人さんに、いろいろ話してたみたいですが、よく聞き取れませんでした。ともあれ、星新一、久しぶりに読みたくなりました。

そのまま、第2部に突入したのですが、ライトノベルの話になったので、中座してしまいました。そういえば、高千穂遙ってあんなふうだっけ!?と思った。自転車にはまってるらしいとおっしゃっておられましたが、ピカード艦長バリのスレンダーボディーでした。(途中入退場が結構自由に出来るので、飽きたら他の企画に行けばいい、ということもわかりました。お客さんが真剣なので、ちょっとでも興味がなかったら中座するほうがいいようです)

14:00からは「SF翻訳というお仕事」。パネラーは、浅倉久志、山岸 真、海老原 豊、嶋田洋一各氏と、あとお一方、日本SFを英訳されている方で、ジーン・ヴァン・トロイヤーさん。「Speculative Japan」という本を、後述のグラニアさんと出されています。この方、非常に饒舌でした。司会の海老原さんは話題の引き出し方が子気味よかった。嶋田さんはとてもよく通るお声で、しかもジーンさんの通訳もしておられました。山岸さんは、はにかんだ感じがとてもチャーミング。ですが、やはり特筆すべきは浅倉久志さんでしょう! もうね、シャイすぎる! SFシャイネスボーイと名づけたい。関西弁がすこーし出る、やわらかい語り口でした。ただ、シャイなあまり、たくさんお話ししてくださらないのです。が、そこはパネラー陣。あの手この手で、なんとか浅倉さんから話題を引き出していて、その雰囲気がなんともほのぼのとして、よかった。

原著が読めないわたしにとって、翻訳者の方の存在はすごく大きい。日本文化に対する理解が進んでいるとはいえない海外では、翻訳者による文章の入れ替えやカットが結構普通に行われているようです。日本の場合、欧米文化に対する理解が深いこともあって、比較的忠実な翻訳がされているらしい。といった濃い話では、客層に普通に混じっておられたプロの翻訳家の方(お一人は中村 融さんだったかな? まだおられたようですが、私自身の知識不足ゆえ、わかりませんでした)とか(多分、有名な)編集者さんとかにも、折々に話題が振られていました。

ところで、浅倉さんの著書「ぼくがカンガルーに出会ったころ」を持っていったので、終了直後にお声をかけさせていただき、サインをいただいてしまいました!!!! 浅倉さんは 「こういうの(パネリストとして人前で喋ること)、苦手なんですよ」とおっしゃいながら、照れくさそうに、わたしの名前と日付を一字一字丁寧にいれてくださいまして(日付が間違っていたけど)、もうメチャ感激しました。

感動の生浅倉詣でを済ませ、もうわたしのワールドコンは終わった、とさえ思ったのですが、グラニア・デイヴィスさんが来日されているので、生グラニア詣でも済ませようと、16:00からの「ニューウェーヴ/スペキュレイティヴ・フィクション」に参加。これがまた、すごくよかったのです!

SF歴が浅いと冒頭で述べましたが、私自身、ヴォネガットくらいしか読んでいなかった。そんな折、先の浅倉さんの本が出て、「SFはこんなに面白いんだよ」と書いてある。これを読んで、もしかして食わず嫌いかしら、と思い、手にしたのが国書刊行会のSFアンソロジー系と、奇想コレクションのアヴラム・ディヴィッドスン「どんがらがん。ここからわたしの目からはうろこが落ちまくったわけです。SFって奥が深い。宇宙船が出てくるばかりがSFではない。すごい世界もあるんだ、と。

グラニア・デイヴィスさんは、ディヴィッドスンのパートナーとして尽力された方で、「どんがらがん」でも文章を寄せています。また、グラニアさんは日本のSFを海外に紹介する活動もされていて、親日家といっていいと思いますが、一語一語、ゆっくり切ってお話してくださり、通訳なしでも理解できました(通訳の方もおられましたが)。

そんなわけで、ニュー・ウェイブSFについては、翻訳モノを少しかじった程度で、日本の作品についてはまったく知らなかったのですが、ああこれは読まなければ、と思いました。わたしの好きなSFのタイプはこのあたり! パネラーだった荒巻義雄、川又千秋、飛浩隆、山野浩一各氏の作品をチェックしたいと思いました。それから、伊藤典夫さんが偉大だということもよくわかりました。「アインシュタイン交点」、読まなくては。

会場に、巽孝之さんがおられまして(ていうか、わたしの隣に座っておられました)、今回のパネラー陣のサインの入った「日本SF論争史」を特価で販売するということに。これは!と思い、終了後に並んでいたのですが、わたしの目の前で本が売切れに......。巽さんも、申し訳なさそうにされてるし、私自身、ショックでちょっとボーゼンとしていました。

そしたら、近くにいた荒巻先生が声をかけてくださいました。

「あなた、本外れちゃったの? かわいそうに...。じゃぁ、これあげよう」
と、ご自身のバッグから本を一冊取り出すと、サインを入れて手渡してくださいました。「シミュレーション小説の発見」という、荒巻先生の著書でした。いっぱい書き込みとかあるけど、いいかな、と。......もうびっくりしました。ええっ、いいんですか!? 光栄です! すごい!

もらうばかりじゃ申し訳ないと思ったわたしは、あたふたと手帳にはさんであった、わたしのイラストのポストカードを2枚お渡ししました。「お礼の代わりといってはなんですけど......」とお渡しすると、「ボクね、画廊もやってるんだよ」とポストカードを手に取ると「うん、いいね、これ」と収めてくださいました。

なんだか感動でぼーっとしてしまい、帰り際に巽さんにもご挨拶をしようとしたら「ああ、ホントもうしわけなかったです...そうだ、コレ、さしあげますよ。SF特集です。出たてですよ」と、岩波の「文学」という雑誌を一冊くださいました。これにもびっくり。

感動して、帰路につこうとしたとき、なんと廊下にグラニア・デイヴィスさんご夫妻が!! 通訳さんもいないけど、行っちゃえ~~!と思い、エクスキューズ・ミーと声をかけました。「どんがらがん」が大好きなこと、今日お目にかけてうれしかったことを、超ブロークンな日本語混じりまくりの英語で伝えて、握手してもらいました。グラニアさんの手は、とても暖かくて、やわらかかったです。

なんだか、すごい体験が出来ました。SFにかかわる方は、とても暖かい。まっすぐなものを持ってる。すごくよかったです。今日しかいけませんでしたが、次回のSFコンには通し券を入手して臨みたいと思いました。


今回の日記でご紹介した本(カバー写真の見れるもの)一覧です。

Speculative Japan: Outstanding Tales of Japanese Science Fiction and Fantasy
Gene Van Troyer Grania Davis David Brin
4902075261

ぼくがカンガルーに出会ったころ
浅倉 久志
4336047766

どんがらがん (奇想コレクション)
アヴラム・デイヴィッドスン殊能 将之
4309621872

日本SF論争史
巽 孝之
4326800445

アインシュタイン交点
サミュエル・R. ディレイニー Samuel R. Delany 伊藤 典夫
4150111480

投稿者 YOUCHAN : 22:34 | コメント (6)

2007年8月30日

もうすぐ「ねこてん」です

nekoten_sakuhin.jpg
もうすぐ、「ねこてん」がはじまります。9月7日から19日までです。
会場は、三鷹のギャラリー犀です。

上の写真は、制作途中の様子です。
ギャラリー犀は、手仕事の雰囲気のある作品が似合うので、
どうしたらその雰囲気が出せるかな、と考えて、
磁石を使った、着せ替えイラストにしました。
最初、自由に切り抜けるマグネットシートを使ってみたのですが、
紙を上から貼ってしまうと、途端に強度がダウン、
お洋服が、身体にくっついてくれません。
試行錯誤して、スチールと小さな丸いマグネットを使うことで
遊べる形になりました。

お洋服は6種類ですが、帽子や靴の組み合わせを変えたら、
もっといろいろ遊べそうです。
ぜひ、会場に足を運んで、遊んでみてください。

会場にいける日はまだ決まりませんが、近日中にアップしたいと思います。

会場にいる予定は以下のとおりです(変更の可能性もあります)。


nekoten_bn.jpg

展示詳細「ねこてん」
2007年9月7日(金)~9月19日(水)

12:00~18:00(最終日17:00)  ※9月13日(木)定休
ギャラリー犀
東京都武蔵野市中町2-6-2
TEL:0422-52-3478(担当 斉藤好和)


ちなみに、DMはこんな感じです。
nekoten_omote_ol.jpg
nekoten_atena_ol.jpg

投稿者 YOUCHAN : 20:52 | コメント (0)

2007年8月18日

インタビュー

youchan4.jpg

EIZONEのワークショップのときにインタビューを受けたのですが、
その記事が公式ブログにアップされていました。
もうすでに懐かしい気がします。遠い昔の夏の思い出のようです。


投稿者 YOUCHAN : 15:06 | コメント (0)

2007年8月17日

猛暑お見舞い申し上げます

daifuku_sleep2.jpg おあつうございます。
連日、めちゃくちゃな気温です。
体調悪くされた方もいらっしゃると思いますが、
どうぞご自愛ください。
ウチも今年はめずらしくクーラーをフル稼働しています。
温風が一日中外に放出され続けるということです。
クーラーの室外機の温風を
エネルギーに変えられたらいいのに。
だれか発明してください。

室外機で思い出すことが...。

12歳から20歳まで、愛知県の一色町という場所で
暮らしていまして、ここは鰻の養殖日本一の町と、
当時はそう聞いていました。
今も盛んだと思います。
鰻を養う池と書いて「養鰻(ようまん)の池」といいまして、
ビニールハウスが、はてしなく広がっていました。

中学校は、海を埋め立てた、とんでもない高台にあり、
45分かけて自転車通学をしておりました。
そして、その通学路の途中には、養鰻の池が。
20分くらいは、ずっと養鰻の池沿いを走ります。
路は何本かあったけど、養鰻の池のビニールハウスが
全ての路沿いに立ち並んでいて、
どの路を通ろうとも、養鰻の池を通り過ぎずには学校にも行けないし
家にも帰れない。そんな立地条件。

養鰻の池のメリットは、なんといっても冬です。
海から吹き付ける厳しい寒風をさえぎってくれる上、
換気扇からビニールハウスの温まった空気が外に出てくるので
自転車通学の中坊たちは寒さをしのぐことができたのでした。

ところが、夏はこれが罰ゲームと化す。

暑い、とにかく暑い! 風、さえぎりまくり!
そして何より、換気扇からビニールハウスの温まった空気が
外に出てくるので、とにかく生臭い。
ハウスの脇には、鰻の屍骸の山。これもくさい。
生臭い温風。照りつける夏の太陽。
一色の養鰻の池は、今年の猛暑もやっぱり生臭くて暑いのだろうか。
そうに違いない。
屍骸の山は、今年もハウスごとに積まれてたりするのだろうか。
あの温風、エネルギーに転換したらいいのに。

クーラーの室外機の、むお~~んとした温風は、
多感なティーンネイジャーを彩った養鰻の池を思い出すのに
十分な威力があります。
もういいよ。払いのけてもよみがえる、鰻。否、池。

ところで、一色の鰻、今年は関東にもよく出回ってます。
ちょっとうれしい。

投稿者 YOUCHAN : 23:47 | コメント (2)

2007年8月 6日

EIZONEワークショップ終了

kanban_eizone.jpg

8月4日、5日は2日連続で「デジタルえほん」ワークショップでした。
参加されたみなさん、改めましてありがとうございました!
楽しんでいただけましたでしょうか?
とくに初日は時間がかなり押してしまい、申し訳なかったです。

といいますのは、「16:00まで」とは仮の姿。
実際は、全員が完成するまで、両日とも17:30過ぎまでかかりました。
ただ、ZAIM側から追い立てられることもなく、逆に
「ゆっくりやっていいよー」の声に、
受講生さんだけではなく、講師であるわたしも安堵いたしました。
とてもいい環境でした。

参加者の層は6歳から社会人までと幅広かったですが
パソコン経験者が思った以上に少なかったし、
タブレットなんて生まれて初めて触る人がほとんど。
「手ごわい相手」でした。
受講された方にとっては、手ごわい内容だったにちがいありません。

Flashを使って、絵を描いて、それを出力して
えほんに仕立てよう、というものなのですが、Flashは高機能すぎました。
理屈がわからない人にとっては、たとえば
ブラシと鉛筆ツールの違いなんて理解できないし、
今回は、ブラシしか使わないようにしましたが、
惑ってしまうインターフェイスであることは間違いないです。

実際のワークショップでは、全員が、時間をオーバーしながらも
最後まで完成でき、達成感を味わっていただけたので
これまたとても安堵いたしました。

特に、2日目は、たったひとりだけ、作業が大幅に遅れてしまいました。
最終日なので、借りたパソコンやタブレットを搬出しなくてはならないため
撤去作業が進む中の作業になりましたが、それでも真剣な表情で
最後の最後まで作品を完成させ、その根気に、ただただ拍手、拍手です。

あ、そうそう、それからすごくよかったのが、
できあがった絵本を見せあいっこしてたとき。
子供たちの歓声がね、あがるんですよ。
みんなでおでこつき合わせて、ちいさな絵本を見入る様子。
これだけで、あーよかったなぁ、って思いました。

講義内容としては、短時間で詰め込みすぎたと反省もありますが、
それを跳ね返すパワーが参加者サイドにありました。
モチベーションが、とにかく高いです。
二日とも、参加者の力量に助けられたと思います。
ありがとうございました。

期間中は、2日連続でまつばらさんにサポートに
入っていただいたり、学生さんのサポートも心強かったです。
こちらも、ありがとうございました!!

ワークショップインタビュー記事
ヨコハマEIZONE

投稿者 YOUCHAN : 16:36 | コメント (0)

2007年8月 1日

8月1日からワークショップ@ヨコハマ

ワークショップ

ヨコハマEIZONEのワークショップが、
8月1日のヒラヤマさんを皮切りに始まります。
今日、ようやく資料を作り上げて送りました。
あとはうまくいくのを祈るばかりなり。

まつばらさんが8月2日、HAL_さんが8月3日で、
わたしは8月4日と5日の2日連続です。(5日は急遽決まりました)
受講申し込みをされたみなさん、よろしくお願いします!!
楽しいひと時を過ごしましょう。

ワークショップだけじゃなくて、
EIZONEはいろんなイベントが目白押しなので、
遊びに行くといいと思うデス。

ワークショップ(すでに全コース満員御礼)
ヨコハマEIZ