« 2009年8月 | メイン | 2009年10月 »

2009年9月21日

ポー大会だった

「19,20日にポー大会あるからどうぞ」と巽先生から手渡された1枚の紫色のフライヤーには、「エドガー・アラン・ポー生誕200年記念大会」のプログラムが書かれていた。「エドガー・アラン・ポーの世紀」を読み終わったことだし、これがとてもおもしろかったので行かねば!と、友人の美人書店員とともに両日参加してきた。二人ともキャンパスライフに無縁の人生、うきうきと待ち合わせて慶應義塾大学三田キャンパスへGO!

大会プログラムは、実を言うとわたしが想像していた以上にアカデミックで難しかった。特にバートン・L・セント=アーマンド氏(ブラウン大学名誉教授)の講演は通訳がなかった。でも普通にコトバが通じているし、質疑応答も英語だし......。気軽に参加しすぎたことを反省しつつも、それでも充実の二日間であったので、わたしなりに感じたことを記録しておこうと思った。

わたしにとっては二日目のシンポジウムがとても興味深い内容だった。トップバッターの鴻巣さんは、先述の「ポーの世紀」でわたしが一番感銘を受けた「ポーの影響は書き手ではなく読み手側に起きている」という論説を展開された方で、本に書かれていた内容を補完してくださったと思う。配布されたハンドアウトには、本では数行の引用止まりだった貴重な内容の写しがあり、これは読者にとってはありがたいボーナストラックだと感じた。やったね!と内心ガッツポーズ。

そして、安藤礼二さんは、ポーと同時代に生きた作家について取り上げていて、同じ時代に生きた作家が、奇しくも同じテーマ(外の世界ではなく内面や別世界)を描いてきたことに着目し、アメリカのポーと日本の平田篤胤を比較したり、東西の作家達の比較検討したりと、これがとても興味深かった。日本の平田篤胤から谷崎潤一郎、江戸川乱歩、寺山修司への一連の流れは非常に興味深いが、そういえば日本は第2世界大戦で、これまで第一線だった作家がいっせのせでリセットされてしまった経緯がある。これはその流れに影響はなかったのか、ふと気になった。このあたり、掘り下げてみたいと思った。

また、前後するが、1日目では青柳いづみこさんによるピアノ演奏と講演があり、「アッシャー家の崩壊」をモチーフにしたオペラ劇が紹介され、これまた非常に美しいというかデカダンな感じがぐぐぐと心に迫った。かっこいいのだ。これは通しで見てみたい内容だった。


わたし自身、昔から内省的・退廃的・不条理な物語が好きで、ずっと愛読してきているが、おそらくそういう恐怖に浸ることでなにかのバランスを取っているように思う。わたし自身が退廃的な絵を描くことはないけれど、もしわたしの内面からこれらの不条理で残酷な文学世界を取り上げてしまったら、おそらくいつもの明るく楽しいイラストは描けていないのでは......と思う。わたしにとっての「癒し」とは「残酷さ」だと思う。高校生の頃から、夢野久作や戦前の探偵小説界にどっぷりはまっていたけれど、そういうことなのだろう。

「ポーは自分自身を映す鏡」という説があったが、おそらく多くの読者にとってもっとも共感する言葉なのではないかと思った。

エドガー・アラン・ポーの世紀
4327472190

投稿者 YOUCHAN : 23:29 | コメント (0)

2009年9月15日

土日のこと

今年の3月に入会が承認された日本SF作家クラブ。ここのイベントで、神林長平さんデビュー三十周年をお祝いする会が、先日の9月12日に松本で執り行われまして、わたしも参加してきました。

なんでYOUCHANが作家クラブに!?とよく訊かれるので、一言お断りしておきますと、SFに関わっていれば、作家さんだけでなく、イラストレーター・漫画家・画家も入会資格あり、なのです。星新一さんのご意向のおかげです。

宴会の参加をどうしようか結構悩んでいたのですが、面識のない人がほとんどなら、なおさら参加して対面の上ご挨拶すべきだろうと考え直して、思い切って参加することに。場所は、追分屋旅館さん。ここを借り切っての宴会、ということでした。


と相当びびって参加したのですが、みなさんお優しかった......。ホントにありがたかったです。神林さんの御本「敵は海賊・海賊編」も予習して臨みましたが、さすがにこの日は主役に近づける状況ではありませんでした。次の機会にサインとご挨拶を......。

追分屋旅館さんは地元でも「料理が美味しい」と評判らしく、かなりヘルシーでホントに美味しかったです。が、運悪く、わたし自身は行きの電車・スーパーあずさの振り子構造の横揺れにやられて、しこたま酔っぱらい、そのおかげであまりご飯が食べられませんでした。それでも結構食べたけど。他の方はみなさんほぼ完食されてました。

つづらをあけると
雀のお宿をモチーフにした前菜。つづらをあけると
中からごちそう
中からごちそうが!そのあとも続々続いたお料理。

朝ご飯
朝ご飯


温泉も気持ちよかったです。朝ご飯も美味しかった。帰りは乗り物酔い止めのクスリを飲んで、しっかり帰りました。

知らない人がたくさんいる場所に行くのは、口から胃が飛び出すぐらい緊張するのですが、今回はホント行ってよかったです。SF作家クラブの先生方の著作の装丁ができたらすごく楽しいじゃありませんか。知らない仲でなし。いいものがきっと出来るんじゃないかなー、なんて思ったりしました。

ところで、同室の方と偶然住まいが近所であることが判明して、ずーっとローカルな話題に終始しました。打ち解けるのが早かった。松本城にもご一緒しました。


松本アスレチックセンター
松本城、別名松本アスレチックセンター。天守閣を上り下りする間に見事に太ももが筋肉痛に。61度の勾配は伊達じゃない。

投稿者 YOUCHAN : 21:44 | コメント (0)

2009年9月10日

ニンギョウ・エキゾチカ展の報告

水穂さん撮影。

photo by 水穂 真善

もう先月になるのですが、2009年7月30日~8月10日に関西で開催された企画展に参加しました。場所は大阪・中崎にある素敵なブックカフェ、アラビク。ひょんなご縁で、アラビクさんの企画展「ニンギョウ・エキゾチカ」に出展させていただきまして、出したイラストをさきほど「イラストギャラリー」ページにUPしました。ひとつは、人形をモチーフにした「開演前」、もうひとつは、スタージョンの小説をモチーフにした「夢見る宝石」です。

この展覧会は、人形作家さんの出展が中心だったので、展示ならではの手仕事といえるエッセンスを一手間かけることが重要かなと思い、スパンコールをちりばめて貼り付けています。その詳細はこんな感じです。

「開演前」写真

「夢見る宝石」写真

関西在住の友人・知人にはがきを送りまして、何人かの方が足を運んでくださり、見に行けないわたしのために、写真を撮ってきてくださいました。ありがとうございます! (一番上に掲載した写真は、そんな友人達を代表して、イラストレーター仲間の水穂さんの撮ってくださった写真です)

で、実はこの作品、しばらくアラビクさんに預かっていただいていますので、関西に行く機会のある方は、ぜひお立ち寄りいただき、ちょっと不思議な空間を堪能するついでに、わたしの作品にも会いに行ってくださいね。

投稿者 YOUCHAN : 00:23 | コメント (0)

2009年9月 7日

遅まきながらガンダム

実は7月20日に見に行ってたのですが、写真を整理できて無くて、今になってやっと更新です。今頃解体中だよ。

ガンダム台場に立つ
7月20日18:50のタイムスタンプでした。だいぶ夕暮れになってきました。

光った-!
光った! この頃はまだそんなに混んでなかったので、足の下をくぐるべく並びました。並びながらもご本尊を眺める。

くぐるよー
ミスト噴射の直後。アムロ、くぐりまーす!

立派なダム。
立派なダムです。いや立派。

足首の辺。
足首のあたり。結構細かいとこまで作り込まれてます。

実は8月の29日にもお台場に行きました。もう一回見納めにしときたいなと思いまして。そしたら、群衆が7月の1.5倍くらいに増えててビックリ。ガンダムショップは90分待ちとかで、それは勘弁して欲しいなと思っていたのですが、後方の記念撮影用やぐらの傍の仮設テントみたいな地味な売店がありまして、普通に並ばずにパンフレット買えました。これがまたすごくよい本でした。

30周年記念パンフ

それにしても、ガンダム30周年ってすごいですねぇ。わたしがはまったのは劇場3部作だけなのですが、事細かなとこまで覚えてるのは、10代の柔らかな脳で記憶したせいだと思います。Zは大人になってから見たのですが、やはりファーストのような思い入れがないなぁ。などなど、すごい文化です。次の機会がもしあれば、実物大でアッガイ・ズゴック・アッグを作ってベルファストを再現して欲しいと思います。

投稿者 YOUCH