仕事がはかどらない悩み

今、講談社版の全集の第3巻です。だいぶ後ろに来ました。
「百鬼園日記帖」を読んでいますが、いやー面白い。
若き日の百間先生の日記で、
大正時代の日記を、昭和になってから出版したものです。

そこには、いろんな家庭の雑事のために心乱され、
仕事がまったくはかどらない様がありありと描写されています。
士官学校教師をしていた百間先生は、自宅に戻ったら
依頼された翻訳をしなくてはならないのに、全然はかどりません。
家族が交代で風邪を引いたり、病気になったり、
友人の身内に不幸があって、その相談に乗らなくてはいけなかったり、
気持ちが乗らなかったり、などなど。

それで、なんだかんだで仕事が押してしまい、
翻訳の仕事をくれた人に対し、だんだん後ろめたさが募ってきます。
その切迫した描写は、自宅で仕事をしている人であれば
泣けるくらい共感を呼ぶのではないかと思います。

それにしても29歳にしてこの文章力。すばらしいです。
…29歳にしてこの借金地獄はどうかと思いますが。

4480039007百鬼園日記帖
内田 百間
筑摩書房 2004-05

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※上記紹介の筑摩文庫版は、新仮名遣いです。