幸運のかぎ尻尾

大賀

大賀(たいが)の尻尾は先っちょが90度に折れている。
かぎ尻尾をもったネコは幸運をもたらす、という説もあるけれど、
大賀のかぎ尻尾は、トイレや仕事部屋のドアにひっかかってしまう。
尻尾をドアに沿うようにしならせている。

わざとかもしれない。

人の歩く方向に沿わせることだって多々ある。
ドアに引っかかるたびに、尻尾をどけなきゃドアが閉まらない。

あるとき、わたしはその先っぽを踏んづけてしまった。
ごくごく細いネコの尻尾の感触が、足の裏に伝わる。

きゅっ。

か細い音を立てて、先端から靄が立ち上る。
願い事をかなえよう、とアラジンのランプなら言うだろうか。
かぎ尻尾のアラジンは、もくもくと耳をぴんとたてた形になり、
りゅうとしたかぎ尻尾をたて、しならせた。
その尻尾が左右に振れたその刹那、形は崩れ
みるみるうちに靄は消えていった。

そして、大賀がくるりと振り向いてにゃぁ、と鳴いた。
ご飯の時間だった。