好みの問題

先日のゑいじうの展示を見たという方から封書が届く。
漱石に関する集まりがあるので、ぜひどうぞ、という
とても丁寧なお手紙と、その集まりの趣旨の書かれた
雑誌の切抜きが同封されていた。
内田百間をモチーフにした作品(今回は「件」)を
展示していたからであろう。

がしかし。わたしはあまり漱石を知らない。
百間が崇拝する漱石を、百間ファンがどのくらい好きなのかはわからないが
わたしは、ちょっと漱石先生の作品は鼻に付く。
皮肉や風刺がきついので、あんまり馴染めない。

そういえば、ヴォネガットをモチーフにした展示を見た方から
「SFとか幻想的な作品が好きなのですか?」と聞かれた。
そうでもない。実際、いろいろ読んでみたけど、SFはどうも面白くない。
(ブラッドベリはよかった)
わたしは久作がすごく好きなので、探偵小説もいろいろ読んだけど
やっぱ面白くなかった。(江戸川乱歩と横溝正史はよかった)
中学生のとき、山下達郎が好きで、彼が紹介するドゥワップとか
ビーチボーイズとか聞いてみたけど、結局続かなかった。
(モータウンはよかった)

わたしが好きなのは、百間であり、この時代の小説ではない。
久作が好きなのであり、探偵小説ファンではない。
ヴォネガットが好きなのであり、SFファンではない。

自分の趣味をモチーフにして、今後作品を展開していく上で
この手の誤解だけはなるべく避けねばならない。
モチロン、完璧には無理。
でも、人をがっかりさせることだけは避けたい。
よく考えて描かなくちゃ、と思っています。