追悼 佐藤博氏

Facebookでペッカー氏の呼びかけがフレンド経由でシェアされてきた。佐藤氏のご家族と連絡が取りたい、という。なにがあったんだろうと、ただならぬその書き込みから、キーボーディストの佐藤博氏が急逝したことを知る。ご家族との連絡は程なくしてとれたとのことで、わたし自身、呼びかけのシェアは削除した。

佐藤氏といえば、わたしが初めて衝撃を受けたのは、山下達郎の2ndアルバム『SPACY』の一曲目「Love Space」のイントロだった。天からこぼれ落ちてくるようなきらきらしたピアノの音色、間髪入れず入ってくるドラムとストリングス、そしてギター! こんな音楽聴いたことがない、と衝撃を受けた中学2年生の私は、なんどもなんどもこの曲に、そしてこのアルバムに針を落として聴きこんだ。当時はLPレコードだった。『FOR YOU』における「FUTARI」も佐藤さんの演奏だった。「Rainy Walk」もそうだ……。佐藤氏は大好きな曲に沢山関わっている、いつも聴いている音楽にいる、そんな存在のキーボーディスト/ピアニストだったと思う。わたしにとって1980年代は音楽に出会って広がった大切な時代だった。SFに出会う前にわたしは、音楽と熱愛中だったと思う。

改めて、どうか安らかにお眠りください。

そして、今ちょうど還暦周辺の、わたしが好きなミュージシャンの皆さんへ。この年代の方、タフな人が多いなぁという印象があります。ですが、無理をなさっているような気もしていました。先週観に行ったマンハッタン・トランスファーは今年で40周年とのこと。リーダーのティム・ハウザーは御年70にしてお元気で楽しそうに美しいハーモニーを聴かせてくれました。長く第一線でいつまでもやり続けろとは言いません。しかし、ハードワークな方が多いような気が致します。どうか、ご無理だけはなさいませぬよう。「音」を「楽しむ」と書いて「音楽」。楽しんで音楽と向き合って、無理のないようにお過ごしください。