人の顔

人の顔

と言いさしてチエ子は口を噤んだ。
ビックリしたように眼を丸くして、父親の顔を見た。
しゃがんでいた父親は、いつの間にか闇の中に仁王立ちになっていた。
両手をふところに突っ込んだまま、
チエ子の顔を穴のあくほど睨みつけていた。

(夢野久作「人の顔」より)


2006年の個展で描いた描きおろしです。

夢野久作の作品の中でも短編です。
「人の顔」は、ちくま文庫夢野久作全集〈3〉に収録されています。

人の顔カバーダミー

本のカバーイメージです。