2008年5月30日
あと2日です!

急遽、PCM竹尾さんにお願いして、ポストカード用紙を大急ぎで準備していただき、カード(を刷る)準備も万端、 カードをガッツリ用意しておまちしております。タペストリーで使用した、フレスコ・グラフィックペーパーのサンプルも急遽追加。面白い紙で、壁紙素材っぽくてインクジェットでも刷れちゃう。これのA4サイズの用紙、PCM竹尾さんのご厚意で、なんと無料配布しております。数に限りがありますので、なくなった場合はゴメンナサイ。特にイラストレーター仲間の間で、なかなか好評です。
ところで意外なのが、ムーンライダーズの「アマチュア・アカデミー」を イメージしたカードが売れまくっていること。 昨日など、なんと20歳の若い女性が 「あれってYBJですよね!」と興奮気味にカードを手にし、
「ライダーズ、大好きなんです~~~」と。 「そ、その若さでマニアな道をわざわざ選ぶなんて...」と涙が(ウソ) 彼女の前途を祝しました。
意外なものが意外に出る、というのが今回も感じた手ごたえでした。おっもしろい~~~。あと2日なのだー!! 最終日は5時までなので、お間違えのないよう、よろしくお願いいたします。
※上のお写真はまつばらあつしさんよりいただきました。オープニングのときです。着ているTシャツはSPARKSだっ!すこーし後ろに作品がうつっています。ムフ。
投稿者 YOUCHAN : 08:51 | コメント (3)
2008年5月28日
個展、本日3日目です
おかげさまで、オープニングも大盛況でした。ご来場の上、盛り上げてくださった皆様には改めて感謝です。
飲み物や食べ物が残らなかったのも、すばらしい!
みなさんの胃袋に栄光あれ。
初日と2日目で、販売中のTPノートブックと
今回の展示作品を出力したポストカードが予想以上に出ています。
ありがたいです。
ノートは企画立案したおじさまたちのアイデアと愛情がたっぷり詰まっていて
わたしはあくまでもそのお手伝いに過ぎないのですが、
おじさま方の熱意がノートからにじみ出ているからかもしれません。
モノ作りは愛情ですね。しみじみ。
本日3日目は、2時以降、連続してお約束しているお客様がご来場なので、
ランチを早めにとって、万全にしておかなくては!と思っております。
ぷらっとご来場の方も、お気軽に~。
美味しいコーヒーは、今の暑い季節はアイスがいいですね。
私自身、低血糖なので、おやつタイム頃に1Fに降りて
アイスカフェオレをいただいています。
マスターの淹れるコーヒーは美味しい!
ぜひぜひご賞味ください。
では本日も、みなさまにお目にかかれるのを
作品と共にお待ちしております。
投稿者 YOUCHAN : 07:36 | コメント (0)
2008年5月26日
個展「第二文学山房 ゑいじうはSFでいっぱい」のお知らせ
えと。このエントリー、しばし一番上に表示してます。個展準備日記なんかも書いてますので、もしよければ読んでくださいねー。どんな題材をネタにしてるかもわかって楽しいかも?マニアックでゴメン......。
YOUCHAN個展 第二文学山房 ~ゑいじうはSFでいっぱい~
(同時開催 音楽山房 ~ゑいじうの1Fは音楽でいっぱい~)
会期 2008年5月26日(月)~31日(土)
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
オープニングパーティー 2008年5月26日(月)17:00~19:00
会場 Coffee&Gallery ゑいじう
〒160-0007 東京都新宿区荒木町22-38
TEL:03-3356-0098
交通 東京メトロ 丸の内線「四谷三丁目」2番出口より徒歩7分
都営新宿線「曙橋」A1出口より徒歩3分
上図が今回の個展「第二文学山房 ゑいじうはSFでいっぱい」のDMです。モチーフは、読んだことのある人なら(多分)わかってもらえると思うのですが、カート・ヴォネガットの「スローターハウス5」です。
実は、今からちょうど20年前の20歳のとき、卒業制作のモチーフとしても「スローターハウス5」をわたしは描いておりまして、昨年末に母の家にずっと置 きっぱなしにしていたものを引き上げてきました。個展会場では、その20年前の「スローターハウス5」も展示する予定です。生き恥をさらすようではありま すが、あのときから20年経った40歳のわたしが描く「スローターハウス5」と比べて見ていただくのも、これまた一興。20歳のときって、自分が他の誰よ りも特別だと信じてた頃だし、とんがってみたくて、でもうまくできなくて、というあがきのティーンネイジャーから脱皮する時期でもあります。当時から変わ らない部分と、やはり20年を経て変わった部分があります。実際の展示はB1サイズ。卒制がB全パネルだったので、新作もB全にしないとフェアじゃない かー、と思ったので。
さらに20年後の60歳のときに、また「スローターハウス5」が描けると楽しいなぁと思います。20歳のときはアクリル絵の具でした。40歳の今はデジタルです。60歳のワタシは、何を使ってるだろうか。
会場地図についてはこちらです。ちょっと大きめに書き出してみました。

投稿者 YOUCHAN : 21:10 | コメント (0)
2008年5月25日
明日から個展なのです

うちに帰ってきたら10時で、シャワー浴びてソッコーで寝て
また4時半に起きてSPARKSのライブ中継見てるオレ。
アホですな。
今、「なんちゃってカバー」をちまちまと作っています。
またもや「あとのせサクサク」です(一昨年とおんなじやん)
- 月曜以降は、終日おります。ランチタイムは席、外します。
- ゴミがすごく出るので、期間中、展示会場でお茶はお出ししません。もし、のどが渇いた方は、1Fのカフェでお飲み物をオーダー願います。
- オープニングは17時からです。ビール、ソフトドリンクなどの差し入れ歓迎です。
- オープニングの飲食は1Fのみです。2Fでは飲食できませんです。作品をじっくり見ていただいて、いろいろお話しするスペースにします。この辺は、一昨年とおんなじです。
- 写真は販売物のノートと、予約受付中のジョッターの見本。ジョッターがすごくかわいいので、是非手にとって見てください。COBUさんの力作です。
- 今回の新作をポストカードサイズに出力したものを1枚200円で販売いたします。全作あります。用紙も、展示しているものと同じ画材用紙ですので美麗です。お気に入りが見つかったら、お土産にどうぞ。
- お会計は1Fでお願いします。
- 展示の写真は、まだ載せないのだ。でも22点って、家で見るとすごい量なのに、飾るとあっという間にまるで吸い込まれるように収まるのねぇ。
投稿者 YOUCHAN : 09:13 | コメント (0)
2008年5月22日
[個展準備]世界は愛を求めてる
とうとう展示作品の最後の絵が仕上がった。音楽山房の「What the world needs now is love」、バート・バカラックの名曲。今年80歳になるバカラックは、2月に来日公演を行った。首都圏では、東京国際フォーラム。これはわかるが、なぜかグリーンホール相模大野。えええ、相模大野ー!? 近所までバカラックがやってくる! ということで、チケットを取り、NORIと見に行った。わたしにとってバカラックとの出会いのきっかけは、ユキヒロがカバーしている「The April Fool」だった。ユキヒロの影響で聴きだしたのは、他にはトッド・ラングレンやピエール・バルーがいる。そのバカラックが、なんとやってきて、しかもオーケストラ編成ということだった。期待が否が応にも高まる。
1曲目が「What the world needs now is love」で、全部で40曲近い演奏をしたのだが、この曲は、最後にもう一回演奏した。そのとき、照明の演出も手伝って、赤いバラがぱぁっと開いたような印象を持った。一緒に聴きに行ったNORIも同じ印象を持ったという。あの曲は、真っ赤なバラだね。
コンサートの帰りに大戸屋で食事を取ったが、お客さんの8割がたが、コンサート帰りの人だった。パンフレットをうっとりと眺める人、マニアックな音楽談義に花を咲かせる人、いろいろだったが、皆の手には、当日配布された「BB」と印刷された正方形のリーフレットがあった。大戸屋さん、気を利かせてBGMをバカラックにしてくれたらいいのに。
世界は愛を求めてる。世界でたった一つの規則があるんだ、いいかい、なんてったって親切にしなきゃいけないよ。たくさんの勇気や励ましや愛をもらった音楽たちへ、そしてそんな音楽を生み出した、敬愛なるミュージシャンの方々へ、ささやかな恩返しの気持ちを込めて、今回の展示作品を描かせていただいた。うまくかけているかどうかはわからない。けれど、こんな幸せなことがあるだろうか。
投稿者 YOUCHAN : 12:30 | コメント (0)
2008年5月21日
[個展準備]メイル兄弟
残るは音楽山房の2点なのだが、連日、早朝4時半に起きて、スパークスのライブ生中継を観ている。わたしが初めてスパークスを聴いたのは、実は一昨年前。かなり浅い。名前だけは知っていたが、なぜかノーチェックだった。そんな折、岸野雄一さんのサイトで「スパークス来日」の文字が躍っていた。この公演を見ないと一生損すると煽られたような煽られてないような。好奇心のほうが強く、チケットを予約し、予習のつもりで「Hello Young Lovers」を聴いた。最初聴いたときは、正直ぴんとこなかった。なんだこれ。聴いたことのない音楽だ。オーケストラとロック、怒涛のコーラスワークと、うーん、なんていったらいいんだ、これ。「......?」のまま、もう一度リピートした。リピートするたび、「?」は「!?」になり、「!!」になった。なんだこれは!すごい、すごすぎる!! どんどんはまっていった。
そして来日公演。開演が押したため、スパークスの登場も押した。内心、前座がつらかった。前座の人が悪いわけではないが、やはり主役が出るまでが長すぎたのだ。ところが、スパークスが登場するや否や、そのつらさは吹き飛んだ。まるで見たことのないステージ。アルバム一枚がそのまま一本の映画のようだ。スクリーンに映し出された映像に合わせ、ロンが不思議な踊りをする。ラッセルは右へ左へとステージを駆け巡ってエネルギッシュに歌う。呆然とした。
このステージ以来、実を言うとわたしはライブとかコンサートに、以前ほどあまりいきたいと思わなくなった。あのスパークスのステージの印象が、未だに強く残っているからだ。
ところで、私自身、スパークス歴が浅いおかげで、ラッセルといえば今の風貌だが、昔からのファンの方の間では、70年代の見目麗しい頃のラッセルの印象が強いようだ。しかし、わたしはどちらかというと、今のラッセルのほうが好きだ。年齢を重ねた人の顔というのは、実にいい。特に、ステージで見たラッセルの表情は、すばらしいと思った。そして、今年の21夜の怒涛のライブで見せるラッセルは、一昨年よりも心なしかすこし痩せていたし、近年で一番いい感じだと思った。
動かないロンと激しく動くラッセル。メイル兄弟のコントラストは、荒れた画質で、ときどき止まるインターネット中継を通じても、ぐいぐいと鮮やかに迫ってくる。絵に起こす際、二人の顔を描こうとは思っていたが、ここまでいろんなものを排した絵になるとは正直思わなかった。地味かなと思ったが、何よりも「今」のラッセルを描きたいと思った。「スパークス・ガイドブック」には、あまり近年のラッセルの写真がないし、CDのインナーもロンの写真が多い。スパークスのオフィシャルサイトの写真も、ラッセルは少し自信なさげに見える。ライブではあんなに意気揚々とすばらしい表情を見せているのに......。結局、作画の際に頼りにしたのは、自分で撮った、画質の悪いライブ中継のキャプチャーだった。
今のラッセルを、わたしは猛烈に応援している。モチロン、ロン兄ちゃんもかっこいくてステキだ。スパークス、また来日してほしい。そして、アルバム丸ごと1枚をドラマチックに見せるあのすばらしいステージを再現してほしいと思う。(フジロックにくるけどね)
投稿者 YOUCHAN : 14:57 | コメント (0)
Sparks Spectacular

※6月1日(現地時間)の配信からサーバダウン、コッチでみれますが音が悪い!画質悪い!(6/2付記)
うらやましくて、ちくしょ~~、ロンドンっ子めー!と、うらやんでいたところ、インターネットで配信、生中継されています。時差がある上、サマータイムで1時間繰り上がって、日本時間では翌朝の5時からの配信です。時々、画像が止まりますが、音はほぼちゃんと聞こえますし、臨場感がもうすごい。2夜目の「A Woofer In Tweeter's Clothing」からみているのですが、一度観たらもうたまらんー! ということで、個展の準備も佳境ですが、朝4時半に起きて夜10時に寝る毎日。
今朝は(今夜は?)「Propaganda」でした。あのオープニングを生声でやったラッセルに内心驚いたです。スマートになった感じもする。いや、カッコイイ。ロン兄は相変わらずステキでございます。(写真はキャプったもの。17日のライブ)
- May 16 : Halfnelson
- 17 : A Woofer In Tweeter's Clothing
- 18 : Kimono My House
- 20 : Propaganda
- 21 : Indiscreet
- 23 : Big Beat
- 24 : Introducing Sparks
- 25 : No.1 In Heaven
- 27 : Terminal Jive
- 28 : Whomp That Sucker
- 30 : Angst In My Pants
- 31 : In Outer Space
- June 01 : Pulling Rabbits Out Of A Hat
- 03 : Music That You Can Dance To
- 04 : Interior Design
- 06 : Gratuitous Sax & Senseless Violins(8:45pm start)
- 07 : Plagiarism(8:30pm)
- 08 : Balls
- 10 : Lil' Beethoven
- 11 : Hello Young Lovers(8:00pm start)
- 13 : Exotic Creatures Of The Deep(8:00pm start)
Exotic Creatures of the Deep
Sparks

投稿者 YOUCHAN : 07:55 | コメント (0)
2008年5月20日
[個展準備]なんてったって、親切でなきゃいけないよ
初めて読んだヴォネガットは「スローターハウス5」だった。18か19歳だったと思う。おそらく、この小説の意味している深いところはほとんど理解できなかったと思うが(だからその後、20年来何度も何度も読み返しているのだけれど)、ヴォネガットに惹かれるものを感じた。2冊目を読んでみようと思い手にしたのが、多分「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」だったと思う。主人公のエリオット・ローズウォーターは、大富豪の御曹司である。人びとの間に貧富の差があることに疑問を感じたエリオットは、富の分配が人びとを幸せにすると信じ、そして、それを実行する。彼のしようとしている慈悲深い行為が、崇高であると同時に、とても愚かしいことであることをヴォネガットは隠さない。ヴォネガットは、日本に住む19歳(ティーンネイジャーのラスト)の一少女に、「物事には常に相反する側面があること」を教え込むことに成功した。
とりわけ、私のお気に入りは、エリオットが言うセリフだ。エリオットが施しを続けているローズウォーター郡に赤ん坊が生まれ、洗礼を頼まれていることを妻に電話で告げるシーンがある。あなたはその赤ん坊にどんな言葉をかけてやるつもりなの?との問いに、そうだなぁ、こんな風に言うかな、とエリオットはこう話した。
こんにちは、赤ちゃん。地球へようこそ。この星は夏は暑くて、冬は寒い。この星はまんまるくて、濡れていて、人でいっぱいだ。
なあ、赤ちゃん、きみたちが この星で暮らせるのは、長く見積もっても、せいぜい百年ぐらいさ。
ただ、ぼくの知っている規則がひとつだけあるんだ。いいかい、-----
なんてったって、親切でなきゃいけないよ。
わたしはこの言葉が大好きだ。絵にするなら、絶対このシーンだ!と思っていた。「スローターハウス5」はヘビーな色使いになってしまったが、ヴォネガットはやはりアメリカの作家らしいポップな色使いが似つかわしい。特にローズウォーターさんはラストのオチが爽快だ(ちょっときれいなオチ過ぎるような気もするが)。ということで、この作品は、ぐっとグラフィカルで鮮やかな感じに仕上げてみた。
投稿者 YOUCHAN : 07:59 | コメント (0)
2008年5月19日
[個展準備]あんたは病気だったが、もう元気になって、これからやる仕事がある
今のタイミングで「タイムクエイク」(=時震)は不謹慎かなぁ......という心配がよぎったが、やはりトラウトとヴォネガットのグランドフィナーレを飾るこの作品は外せない!と思いなおした。タイムクエイクとは、10年リプレイする現象だ。これまで過ごしてきた10年間を、自分の意思とは無関係にやり直さなければならない。あのときの事故を防ぐことも、あのときの失敗を防ぐことも、あのときの失言を取り消すこともできない。皆一様に、自らのたどってきた、愚かしくも誇り高き10年をなぞる羽目に陥る。ところが、リプライ終了と同時に、自分の意思で行動をしなければならない。何にも考えずに行動してきたのに、ある瞬間を境に、「自由意志」のスイッチが入る。そうすると、人はどうなるか。たとえば、動く歩道に乗って移動をして、歩道が終わると自らの足で一歩を踏み出さなくてはならない。が、あなたが相当ぼ~~~っとしていたとしたら。突如、動く歩道が終わりを告げ、あなたはおそらくつんのめって転ぶだろう。タイムクエイクは、そういうことである。
10年間のリプライ。非常に面白い発想で、最後の最後にヴォネガットはSF的な要素の小説でグランドフィナーレを飾ってくれたと思ったものだが、このリプライは、今のわれわれのことなのかもしれない。自分の意思で考え、動くことをずっと訴えてきたヴォネガットだった。しかし、もう「坑内カナリア」理論だけでは追いつかない状況に業を煮やし、読者への最後の贈り物としてこの物語を仕上げたのではないだろうか。
ちなみに、このエントリーのタイトルの「あんたは病気だったが、もう元気になって、これからやる仕事がある」は、トラウトの言葉である。孤独で不遇なSF作家は、このリプライ終了後に大活躍をして、一人ぼっちではなくなった。もう孤独じゃない!
「タイムクエイク」は、ヴォネガットのラストの小説であり、これまでのヴォネガットの小説をずっと読んできた読者への特別のプレゼントでもある。そのため、他の本を読んでない人には、おそらく意味不明な小説だと思われる。個人的には、いろんな思い入れのある作品。
投稿者 YOUCHAN : 20:09 | コメント (0)
2008年5月18日
[個展準備]猫を勘定に入れました
私的セレクションの三大タイムトラベル作品(「夏への扉」「マイナス・ゼロ」)の3作目は、コニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません」。ジェローム・K・ジェロームの「ボートの三人男」にオマージュを捧げた本作品、とにかく楽しい。タイムトラベル・カラフル・ミステリ・ラブコメディである。イラストに起こす際には、2058年と1888年を行ったり来たりと大忙しのヴェリティにスポットを当てたいと思っていた。彼女の大活躍があって、この物語があるといってもいい。そしれ、忘れてはならないのは、あてにならない名(迷)犬シリルもさることながら、やはりここは、猫のプリンセス・アージュマンドであろう。だって、彼女を勘定に入れずして、この物語は成り立たないのだから。
そして、ご本人の登場シーンそのもの以上に、ネッドやヴェリティその他のみなさんが恐れおののく、レイディ・シュラプネルを忘れるわけにはいかない。それにしても、なんとまぁこの小説に登場する女性はたくましいことだろう。
作画する上では、厳密な時代考証は特に行わず、文中の表現から推測するにとどめた。たとえばヴェリティが着ているドレスにこんな模様は入っていなかったと思う。デフォルメということでご勘弁いただきたい。なお、わたしが別途調べたのは、コヴェントリー大聖堂の実物と、焼け落ちる前の細密画である。現在、庭園になっている場所は、もともとは礼拝堂だったのだ。なかなか感慨深い。そして、ムーンフェイズはこの当時、作られていたのでよしとした。そんなところだろうか。
コメディとしての楽しさを第一に表現したかった。連続TVドラマになってほしいなぁ。思い出すだけで笑いがこみ上げる楽しい小説。
投稿者 YOUCHAN : 04:00 | コメント (0)
2008年5月17日
[個展準備]ドレイクの方程式に新しい光を
イアン・R・マクラウドという作家の作品を初めて読んだ。「夏の涯ての島」という短編集で、表題作も含め、あらゆる形式に則った愛の形が描かれている。その中でとりわけ、わたしの気持ちを強く掴んだのが、「ドレイクの方程式に新しい光を」だった。
テアという女性と、トム・ケリーという男性。テアは生きるために目的を求め、トムは目的のために生きる。やがて価値観の相違から疎遠になってゆく二人が、長い長い年月を経て再会する。そして、テアがラストで取った選択を読んだ途端、はっとした。これはビョークの「ハイパー・バラッド」じゃないか、と。もしもこの歌を知っている人がいたら、是非読んでほしいと思うし、この曲を知らないでこの物語を読んだ人には、「ハイパー・バラッド」を聴いてほしいと思った。イラストにも、その色合いが反映されている。ちょっぴりここにも音楽山房が盛り込まれてしまったようだ。(むふふ)
トムの生きる目的とは、地球外生命体をSETIを使って探し続けることだ。舞台となっている時代では、もうSETIそのものは見捨てられた技術になっており、彼は半ば世捨て人のように生きるが、最後にテアと再会した後、トムは再びその目的に誇りを抱く。
痩せても枯れても、自分はトム・ケリーだ。
そして、今夜こそがその夜かもしれない。
まだ自分は耳をすまし、待っている。
生きるために目的を見出すのも人生。目的のために生きるのもこれまた人生だ。人の生きる道は、それぞれに誇り高く、そして美しい。そう思わせる作品だった。
投稿者 YOUCHAN : 02:20 | コメント (0)
2008年5月16日
個展の販売物について


- リュウドさん(販売元)
- ソリッドアライアンスさん(楽天)
- 信頼文具舗 ※1冊から購入できるようです
- ジャストシステムさん(6月からの予定)
それで、私の個展でも、ノートの販売をいたします。個展では、1冊単位で販売します。横開きで、5ミリ方眼入りで、ミシン目が入っています。イラストレーターにとってこんなに使いやすいノートが今まであったでしょうか!?
また、展示作品が今回、全作描きおろしという快挙(無謀とも言う)なので、それを記念して、全展示イラストをポストカードサイズに縮小出力したものを販売します。カードとして使っていただいてもよく、また、額に入れて飾っていただいても嬉しいです。出力は展示と同じ材質の紙を使いますので、きれいです。ちょっとコストがかかっていますので、価格は200円の予定です。
ノートやカードは、お気軽なお土産にどうぞ!!
展示作品の販売につきましては、展示終了後のお渡しもしくは郵送という形をとらせていただきます。ご希望がある方にお売りいたしますので、お声をかけていただければ幸甚です。2F展示室の「文学山房」の展示イラストは、マットとイラストのセット状態での販売を予定しています。フレーム(額)はつきません。1Fカフェスペースの「音楽山房」展示イラスト(LPジャケット見立て)は、額とセットでの販売を予定しています。
ノートの誕生秘話は、また後日改めて~。(笑)
投稿者 YOUCHAN : 01:27 | コメント (0)
2008年5月 8日
[個展準備]ムーンライダーズ
今日は音楽山房、ということでムーンライダーズである。愛知の外れのいなか生まれ・いなか育ちのわたしにとっての、東京原風景はムーンライダーズの音楽だった。実際に上京してみて、その感覚は間違っていなかったことに気がついた。高層ビルばかりではない。建物は立ち並んでいる。蛍光灯の灯り。遠くに見えるのは工場か。サーチライト。夜中になっても真っ暗にならない空。そして、ひとり遠くを見つめるジャックの目にはなにが映っていたのだろう。ラジオ消して、土の中に埋めて、アンテナひとつ立てて、草の上で眠りたい。10代の心に刻み込まれた東京原野。孤独を叫ぶこともなく、都会を責めることもない。ただ自身の孤独と向き合う。痛いほどに自身の心にしっくりなじんだ。
わたしがムーンライダーズを初めて聞いたのが「青空百景」だった。リアルタイムだったと思う。明るい曲調とは裏腹に、どこかタガの外れた世界観。40ダースの卵が四丁目の角の僕のベッドで待ってるって、なんだよこれ! 押し寄せてくるのはアナーキーな世界観だ。おかしい、こんな世界があったなんて知らなかった。どんどん惹かれていった。遡ってアルバムを聴くうち、新譜が出た。「アマチュア・アカデミー」というタイトルだった。
当時はLPレコードだった。針を落とした瞬間、今までにない驚きに満たされた。かっこよすぎる!!!! ライダーズに惹かれ、共感したけれど、この衝撃は初めてだった。何もかもをなぎ倒すパワー。カッコイイとはこういうことか! YBJ、ああそうだ、YBJだ。YBJもジャックだ。が、ビルを見つめて待っているのもジャックだ。
ということで、10代半ばのわたしが部屋に篭ってずっと聴いていた音楽へのささやかなオマージュを捧げた。2曲目の「30」を、もう10年前に迎えてしまったが、あれ以来もライダーズは、ときに有機的に、ときに無機的に変化と進化を繰り返しながら、今もわたしにとっての東京原野であり続ける。31年目。現在も継続している、恐るべきバンドである。
投稿者 YOUCHAN : 21:33 | コメント (0)
2008年5月 7日
[個展準備]ラファティ・スイッチ
ラファティとの出会いは結構長い。「九百人のお祖母さん」がそれで、15年以上になる。長いのだけれど、かなり長いブランクがあった。読んでも読んでもなぜか頭に入ってこない。どこが面白いのかがわからないうちに、ずーっと放置状態になっていた。そして度重なる引越しの途中で紛失した。古本屋さんに売ったかもしれない。廃品回収に出したかもしれない。ところが、ここ数年、ラファティの長編が出たりして、また気になってきた。今なら読めるかな、そう思ったが、時すでに遅し。「九百人のお祖母さん」はとっくの昔に絶版状態になっていた。ハヤカワで3冊目にでた「つぎの岩に続く」が1冊出ているきりで、この状況はなんだかおかしいと思うようになった。そう思った矢先のこと、神保町のとある古本屋さんで「九百人のお祖母さん」の上製本がお求めやすい価格で売られていた。本は出会ったときに買うのが正しい、ということで迷わず入手、表題作から読み始める。
あれ? 面白い。
結局、最後まで面白く読めた。が、なかなか難解だと思ったし、大方の評価にあるような「爆笑する」という感じはしなかった。シュールさを味わう感じじゃないのかなぁ、というのが感想だった。そして次に「どろぼう熊の惑星」に進んだ。うむ、こっちのほうが読みやすいかな。相変わらず、血は出てくるし、残酷な描写も多いなぁ、シュールだなぁ。
......と思っていたのだが、途中で「かちっ」とスイッチが入った。ああ、そうか! 味わい方を掴んだ瞬間だった。ラファティ・スイッチが入った途端、面白いのレベルがぎゅーんと上がった。面白いのには代わりがないのだが、気がついてしまったのだ。スイッチが入ってよかったなぁ。
というわけで、展示するイラストは、この「ほら吹きおじさん」の軽妙な語り口てんこ盛りな雰囲気を出すため、ペン画で描くことにした。グリム兄弟やアンデルセンと同じで、ラファティという作家の作品は、いつか伝承される類のものになるだろう。小鳥が千年に一回の割合で巨大な岩をつつきにくるペースで、大きな穴があく頃に。
投稿者 YOUCHAN : 18:08 | コメント (0)
2008年5月 6日
[個展準備] 宇宙クジラとシャコの思い出
今回取り上げるSF小説の中で、最も心優しい短編集、「ジョナサンと宇宙クジラ」を描く。作者はロバート・フランクリン・ヤング。あたたかくて、優しい雰 囲気を大事にしたいなーと思い、ストレートな絵にしてみた。宇宙クジラは人間にたとえるなら17歳の少女である。そこを大事にしよう、と。ク ジラを描く際には、NORIちゃんから細かなアドバイスをもらった。ちょっとイメージ検索してみよう、ということになり、詳細なクジラの資料を見つける。 ふむふむ、なるほど、目の位置はこうだし、尾っぽの形もひれの形も全然違うなぁ、と改めて感心。骨格標本まで載っており、このサイトはどこが運営してるん だろうねぇ、と上位ページに移動してみたら......鯨肉を扱う通販ショップであった。
余談ですが、わたくし、クジラを食べたことがない世代で ある。竜田揚げとか給食に出たよー、なんていう同年代の友人も時々いるが、愛知県は(あるいは西尾市は?)クジラを給食には出さなかった。家でも食べる機 会はなかった。立地的に海が近いので、魚に困らなかったせいもあるのかなと思う。特に夏はキスとシャコばかり食べていた記憶がある。特に、東京に出てきてから食べた シャコが、あまりにも水っぽくてマズイのに驚いた。シャコってーのはこんな味じゃない。ああ、懐かしいなぁ。
と、話が大きく逸れたところで 話を戻すけど、「ジョナサンと宇宙クジラ」を電車で読んでるとき、涙が出て困ったことがあった。悲しくて泣くばかりが涙ではない。優しさに触れるときに も、やはり人は涙するんだなぁ。SF初心者の方にも(ってわたしも十分初心者であるけれど)オススメの1冊。
投稿者 YOUCHAN : 01:04 | コメント (4)
2008年5月 4日
SFセミナーと「論争」と
状況をほとんど飲み込めていないまま、5月3日を迎えた。SFセミナーである。歴史あるイベントらしいが、SFビギナーのわたしには、身の置き所がわからない。どうしようと戸惑っているうちに、あれよあれよと当日になったので、観念して(?)出かけた。「スペキュレイティブ・ジャパン始動」には大いに興味があったので、これは楽しく拝聴した。あっという間の1時間だった。そのあと、休憩。気心の知れた人同士が、ランチに出かけてゆく。私自身はどうしたもんかと、とりあえず外に出ると、物販のブースに見慣れた人が。大橋さんだった。
あれー!大橋さ~~ん、と声をかける。今日はどんなことで?と出展の趣旨をお尋ねすると、同人誌の物販だったということだった。卓上には2,3冊。売れてるのかな。「個展のPRですか?」と逆に訊ねられるも、いや、どうしていいもんかわからなくて......とアウェーモード全開の状態でしどろもどろ。大橋さんには、いろいろとお世話になっているが、今回、私が巽先生から本を受け取ることになっているお話をしてあったので、「そういえば、巽先生には会えましたか?」と気遣ってくださる。「いえ、どうしたもんかと思って......」「あ、だったらスタッフの人に案内してもらったらいいですよ」と、すたすたとスタッフの方のほうへ。ああ、今回もまた大橋さんのお世話になってしまった。ありがとうございます、と告げるのが精一杯で、てんぱっていたわたしはスタッフの方に誘導していただいて、パネラー控え室に通していただく。
わたしの姿を見つけた巽先生は、「お約束の本ね、はい、これ!」と、鞄から出してくださった。何の本かというと、昨年のワールドコンで、わたしの目前で売り切れたいわくつきのもの。巽先生がずっとこのことを気にかけてくださったそうで、「あのあと、サイン本をまた何冊か作ったんですよ。あなたの分は、取り除けておきますから、機会のあるときにお渡しします」と、先日某パーティー(これも先述の大橋さんに連れて行ってもらったもの)で再会した巽先生からお聞きしたときは本当に驚いた。
最初、「郵送しましょうか」とおっしゃってくださったが、それでは申し訳ないような気がして返事に窮していると、「あ、そういえば5月にSFセミナーがありますから、そのときでいい?」とご提案いただき、はい、ぜひ出席します!とお約束していたのだ。それで、わざわざお持ちいただいたのであった。(ちなみに、ワールドコンで「ああ、かわいそうに」とわざわざ別のご本を下さった荒巻先生は「そんなことあったっけ?全然覚えてないなー」とのことだった。そういうものだ)
その後、パネラーの皆様プラス数人のランチに同行させていただき、ものすごい方々との食事に緊張してあまり味がわからない。それにしても、なんておもしろい人の集まりなんだろうと感嘆する。異業種の人たちというのは、本当に面白い。それにしても、SF界の巨匠・大物勢ぞろい。こういう緊張感も、また楽しいもの(後から思えば)。
私自身は、ランチの後のお茶までご一緒させていただき、その後は失礼させていただいた。やはり個展の準備が気になっていたのもある。小川町から電車に乗って、さっそく拝受した本「日本SF論争史」を開いてパラパラと拾い読み。やはり伊藤典夫信者(?)としては、伊藤さんのページから読みたいというのは人情である。ところが、このページ、すこぶる興味深い。伊藤さんの章を一気に読み、ふぅ~とため息をついてしまった。
この本については、きちんと全部を読み終えてから、改めて書評を書くつもりでいるが、「論争」の意義と、その重要さについて、最近もやもやしていた気持ちが少し晴れたような気がした。内容は、その頃、アメリカで糾弾の的になっていたカードの「消えた少年たち」の擁護論を、日本人である伊藤典夫が展開、それが英訳され、彼の地でも大騒ぎになったというものだ。「消えた少年たち」のあらすじも書かれており、カードという作家についての予備知識がないわたしでも、その前後のあらましについては理解できる内容になっており、たいへん面白かった。
近頃、ネットでの議論が人格全否定につながりかねない状況になっていることに、わたしは少なからず畏怖を抱いている。絵描き風情がイデオロギーを語ることや、自身の信念を主張することは「重荷」でしかないのだろうか。そんな気がしないでもないこの頃を過ごしていたが、この本(の一部を読んだだけではあるが)から、わたしは大きな勇気をもらった気がする。「議論」や「論争」とは、「否定」ではないのだ。
巽先生に昨日のお礼のメールをすると、そのお返事に、「SF初心者のかたには絶好の一冊と存じます」と書かれてあった。「SFとはウソを描く文学である」と、昨日のパネルでもどなたかがおっしゃっていたが、言い換えれば「思想を育む文学である」と言ってもよいのではないか。SFは現実と虚構が入り乱れる、想像力が必要とされる文学だ。わたしたちは、もっと勇気を持とう。そして、歴史を学ぶことや、寛容を学ぶことができれば、きっと迷っている事柄の回答が一つずつ得られるのではないか。そんな風にも思う。(それにしても、大橋さんには改めて感謝。ホント、いい方です)
日本SF論争史
巽 孝之

投稿者 YOUCHAN : 22:08 | コメント (0)
2008年5月 2日
[個展準備] 線画作品
世間は大型連休、わたしは個展の準備と連休明けの仕事。働く皆様、もう孤独じゃない!
うっかり記録を忘れていたが、今回は線画作品も数点展示する。ひとつは、A0サイズと巨大なタペストリーで、テーマにしたのは「グラックの卵」。浅倉久志監修の「ユーモアSF短編集」で、これがまたすこぶる面白い。そこで、収録されている短編を一大絵巻物よろしく、スラップスティックに表現してみたが、これは線画が良く似合う。左から「見よ、かの巨鳥を」右にいくに従い、収録順に作品が進み、一番右端はお色気たっぷりの「グラックの卵」で締める。これは、階段の壁面に吊り下げることになっているので、階段を上りながら見ていただくもよし、二階から全体を眺めていただくもよし。
それから、あと2点線画を描いたが、こちらは「音楽山房」。先日、引退騒動まで出て大騒ぎになった(しかもガセだったというお粗末なオチ)フィル・コリンズの「Can't stop loving you」とスケッチ・ショウの「ekot」。この両者、音楽の方向性も全く違うが、前者はオーガニックな手触りが良く似合うことから、後者は無駄のないラインが良く似合うことから線画で表現することになった。
「Can't stop loving you」は、CDを聞いて泣いた。「Testify」がメチャクチャ気に入ったわたしは、「このアルバムはあなたの作品の中でナンバーワンだ!」と勢いファンレター(ハガキ)をフィルの所属しているレコード会社(アメリカ)に出した。そしたら、フィルの事務所(イギリス)からサイン入りの写真が送られてきた。これにはビックリしたなー。みんなもっと「Testify」を聴いたほうがいいよ。ああいう進化が、わたしは好きだ。
「ekot」は、YMOからずーと聞き続けてきた彼らが、こんなものを作ってしまったのか!とその変貌に驚き、感激した曲だった。過去の栄光に引きずられるどころか、どんどん新しい方向を見つけては進んで行き、しかもその時代の息吹に呼応しているとすら思った。ずっと聞いてきてよかったと思う。特にユキヒロは、今が一番いいような感じがする。
「音楽山房」は、自分の精神的なルーツになるものをピックアップしているため、セレクションがどこかちぐはぐな印象を受けるかもしれない。展示スペースの都合もあり、あれもこれも盛り込めなかったせいもある。が、わたしが個人的に受けた影響を、その1枚1枚に込められたら、と思う。アーティストたちへのささやかな恩返しの気持ち(届くとか届かないとかは別にして)で描いている。
ということで、さて。ムーンライダーズである。わたしの中の「東京」の原風景は、ムーンライダーズのサウンドと共にあったし、それは今も変わらない。どうするかなー。現在思案中。
投稿者 YOUCHAN : 18:53 | コメント (2)
[ 個展準備 ] シジジイ
前の前のエントリーでさんざん手こずったとぼやいていたスタージョン。どうしたものかと思い、「めぐりあい」をチョイスすることにした。非現実と現実の混在具合といい、ダンディな雰囲気もスタージョンらしいと思うし、なによりもシジジイだし。シジジイとは「単為生殖とかその他ある種の下等なタイプの生殖作用に付随して起こる現象の一種」だそうだ。なんのことやら。しかしながら、スタージョンはシジジイがとてもお気に入りで、「めぐりあい」の他にも、「反対側のセックス」にもシジジイが出てくる。また、スタージョンはおそらく音楽がとても好きだったのではないかと思う。「めぐりあい」の主人公は、作曲家でもあるし、「死ね、名演奏家、死ね」では、スタージョンの音楽趣味がどっさり盛り込まれている。
ということで、そんな要素を盛り込んだ絵にしてみた。タテ位置で描いているのだけれど、描いている本人がなんだか横位置のような錯覚に陥る。ラフでとても苦労した分、作画は早かった。なんだか変な絵になったし、イメージが違うといわれるかもしれないが、これもひとつのスタージョンかと。スタージョン本人も言っている、「常に絶対的にそうであるものは、存在しない」と。(スタージョンの法則)
投稿者 YOUCHAN : 00:20 | コメント (0)
2008年5月 1日
[個展準備] そして赤い薔薇一輪を忘れずに
アヴラム・デイヴィッドスン。こりゃまた何と表現したらいいか、一言では表しにくい作家である。洗練されていて、エキゾチックな香りもして、都会的でもあり、センチメンタルでいながら、ミステリアス。といっても先述のスタージョンとは全然違う。短編作家って奥が深いなぁ。ところが、デイヴィッドスンに関しては、ラフはスタージョンほど手こずらなかった。その理由はわからないのだけれど、「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」がイマジネーションを強くかきたてたせいもあるかもしれない。個人的には成長一筋の「ナイルの水源」が大好きで、これを描く予定でいたのだが、再読してみて、この小品にやられてしまった! それにしても、短編集表題作の「どんがらがん」では描かなかったなぁ。こんなんでいいのかしら。ま、いっかー。個展だし。
ところで、今回のこの作品では、線画といつものペインティングを組み合わせた実験をした。この実験