巷説 天保水滸伝

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山口瞳の「巷説 天保水滸伝」を読み終えた。
とても面白かったんだけど、ああ、どうしてそこで終わってしまったのか。
大喧嘩の前というか、きっかけの場面で終わってる。
続きを書くって言ってたのに。
読みたかったなぁ。
そこが残念。

それにしても、歴史上の人物で地元では親しまれているのに
一般的には嫌われている人って多いんだなぁ。
私の地元で言えば、吉良上野介。
吉良町は私の地元の隣にある、今も緑の多い美しい町。
吉良の殿様は、赤馬に乗って農民たちの様子を見て回った
とても地元では人気の高い人だ。
でも、それを言うと「地元の人ってそういうよねー」っていう人、
いるんだよね。
なんだかむっとしてしまう。

冒頭で、飯岡に取材に行った山口瞳が
「どうせ作家はろくなこと書かない」って
結構地元の人から冷たくされてるんだけど、その気持ちはわかる。
助五郎といえば悪いやつなんだよね、一般的には。
心無い一言に地元の人は結構傷ついてるのだ。

助五郎さん。小説でこんな風にちゃんと書いてもらってよかったね。
吉良の殿様も書いてもらえばよかったのに。

余談だけど、私の絵本「リトル・ベティー・ブルー」を出してくれた
瑞雲舎さんは、泉岳寺にある。なんという因縁!
一度だけ、泉岳寺に行った事がある。
入り口には、大石内蔵助の大きな像があったり
当然のことながら、四十七士のお墓もある。
私がここにいていいのだろうかと、なんだかちょっぴり複雑だった。