第二文学山房 ゑいじうはSFでいっぱい

2008年5月26日~31日にギャラリーゑいじうにて開催された個展の出展作品です。全15点。ヴォネガット逝去を追悼して、SFをモチーフにイラストを描きました。奇想系・ユーモア系が中心です。スローターハウス5 カート・ヴォネガットJr. 「スローターハウス5」より

わたしが初めて読んだヴォネガットがこの作品だった。18歳だったと思う。当時、ZELDAというガールズバンドがあり、彼女らのアルバム「カルナヴァル」に「スローターハウス」という曲があった。「11セント綿 40セント肉 雨が降り出さないように 今日もお日様 天に祈る......」 不思議な曲だった( ※ )。歌詞の意味はよくわからないが、物悲しいメロディーが妙にマッチしていた。

インナースリーブを見ると、文末に英語で「Kurt Vonnegut Jr.」の文字があり、作者名とわかった。そして、この「Slaughterhouse-Five」という小説を下敷きにしていることも。早速、書店に行った。それまでSFなど読んだことのなかったわたしが、初めて手にしたハヤカワ文庫だった。

初めて読んだヴォネガットは衝撃的だった。交錯する時間軸、あらゆることに無感覚になってゆくビリー。
「偶然」とは特別なはからいがあって特定の誰かさんのために起きているものではない、とヴォネガットは強調する。この価値観は、18歳の少女の人生観を大きく左右したといっても過言ではないだろう。

この小説の意味する深いところはほとんど理解できなかったと思うが(だからその後、20年来何度も何度も読み返しているのだけれど)、ヴォネガットに惹かれるものを感じた。それ以降、わたしはヴォネガットのすべての著書を買い求め、繰り返し読み、熱烈な愛読者となったのだった。


※ ZELDAの歌詞は、小説中、ビリーの結婚記念日のパーティーでカルテットが歌った一節。


展示の詳細なレポートは、専用サイト「文学山房」をご覧ください。